森の神様を祀る少数民族ハニー族の信仰


ベトナム北西部の山々に居住している少数民族ハニー族は自然を守る意識が強く、森林を家と、水をコミュニティの頼りに生活をしています。そのため、この民族は、森や水の神様を祀る信仰があり、この信仰を精神生活に欠かせないものとしています。

ハニー族は、全ての物事には魂があると信じています。森林には森の神様、水には水の神様、山には山の神様がいるなど、多神教の民族ですが、これらの神様は人間と親しい関係にあると信じられています。中でも、森の神様と水の神様は最も重要な存在であるということです。そのため、森林と水を守る規則があり、今も厳守されています。

森の神様を祀る少数民族ハニー族の信仰 - ảnh 1
森の神様を祀る


ハニー族の考えでは、それぞれの村を守るのは森の神様で、それぞれの村は、特に確定した森林を神聖な森林としています。ラオカイ省文化情報局のグエン・フウ・ソンさんは次のように話しています。
(テープ)

「それぞれの村は、村の森林があり、それはとても神聖なところです。その森林には、倒れた木や薪がたくさんあっても薪を取りに行く人は一人もいません。村人は年に1回「ザマゾ」と呼ばれる森の神様を祀る儀式を行います。」

「ザマゾ」儀式では、森林へ入る道の前に竹が置かれてあり、「立入り禁止」という意味を表しています。その竹には豚の足の爪がつけられますが、それは3日間絶対に森林へ入ってはいけないというマークです。ラオカイ省バッサット県イティ村に住むハニー族の一人リー・ソ・チョさんは次のように話しました。
(テープ)

「豚の足の爪を元の場所から放した人は罰金が科せられます。その3日間は草や薪の魂のための日で、人間は絶対に入ってはダメなんです。その3日後、森林へ入ってもいいですが、その3日間はだめです。」

森の神様を祀る少数民族ハニー族の信仰 - ảnh 2
原生林がたくさん残っているハニー族の居住地

「ザマゾ」儀式では、村人は、豚と鶏を神様にお供えします。豚は神聖な動物で、常に森の神様のそばにいます。そのため、儀式の後、豚の骨は、村人をサポートするために、森の神様の魂のように大切に保管されます。イティ村に住むチュー・ギ・トさんは次のように話しました。
(テープ)

「毎年、森の神様を祀る儀式が村の最も大切な行事の一つとして行われます。村人は、おこわや豚、鶏を用意して神様に供えます。これらのお供え物は神様への人間の心を表すものです。」

ハニー族は、棚田での稲作を主な生計とするので、森林と共に、水資源を大切にしています。水資源が乏しい棚田に水を十分に提供できるように、水利施設を整えています。また、水の利用に当たっては、節水に対する意識が強いです。

大自然を守る意識が強いことにより、ハニー族の居住地周辺には、今なお多くの原生林が残っています。3、4人で手をつないでも抱けないほどの大木がたくさんあり、動物も自由に生息しています。こうした原生林の中を歩くと、ハニー族の森林保護の意識がよくわかることでしょう。


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