(VOVWORLD) -ベトナム国内では、仙草で作ったゼリーは、大勢の人々から愛用されるデザートであり、田舎の小さな市場から大都市の大型スーパーマーケットに至るまで販売されています。
仙草の木 |
ところで、仙草はシソ科の植物であり、高さは100cm程度、葉は対生で、長さ2~10cm、幅1~3cm程度の比較的長い卵形、先がとがり、のこぎり状の縁があり、灰緑色の斜紋が入ります。花は小さく、赤紫色、実は逆卵形です。この植物は、乾燥した地上部の葉や茎が使用され、味は甘、性は涼であり、煎じて飲むと、暑気あたり、喉の渇き、熱毒に効用があるとされます。また、乾燥させて黒くずんだ葉と茎や茎に重曹を少し加えて、煮つめて漉すと、デンプンとペクチンなどの多糖類が溶出しているので、冷やすと凝固して黒いゼリー状の食品ができます。
乾燥した仙草 |
ベトナム北部カオバン(Cao Bang)省タックアン(Thach An)県は仙草の栽培地として広く知られています。仙草は、現地の経済発展における重要な植物として見なされ、多くの家庭の貧困解消に貢献しています。
ドックトン(Duc Thong)村はタックアン県で最大となるおよそ100ヘクタールに及ぶ仙草栽培面積を所有しています。現地に住むザオ(Dao)族のチエウ・ティ・ヒエンさんは、「年間を通して涼しい気候と、肥沃な土壌のお陰で、2016年に、我が家は1ヘクタールあまりの仙草を栽培し始めた。年収6千万ドン(27万円程度)を遂げている」と明らかにし、次のように語っています。
(テープ)
「2月初頭の湿気が多い頃に仙草の苗を植え付けます。この植物の栽培は、湿気が高い丘の上に適していますが、収穫期は、暑い夏です。しかし、仙草は年に一回しか取れません。」
仙草のゼリーを作る |
収穫期になると、卸売業者は、仙草の葉と茎を買い込み、全国各地にある仙草のゼリー生産工場に販売したり、中国に輸出したりしています。タックアン県だけでも、多くの仙草のゼリー工場が活動しており、数十人を雇っています。ドンケー町にあるゼリー工場の主は次のように語っています。
(テープ)
ブラックゼリー |
「現在は、仙草のゼリーの消費量は、以前より遥かに増加しています。我が家の工場は、10人を雇っていますよ。ピーク時は、一日約2トンのゼリーを出荷しました。ゼリーの消費先は北部の各省です。」
今年、タックアン県にある仙草の栽培総面積は360ヘクタールに上り、収穫量2000トンに達すると予測されています。タックアン県農業室のブ・ドック・ティエン室長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「1ヘクタール当たり、およそ6トンの仙草の葉と茎を収穫し、約1億ドン(45万円程)の収益を得ます。稲やトウモロコシなどの従来の作物と比べ、仙草の方が、高い経済的価値をもたらしています。そこで、タックアン県は、この植物を主要な植物としてみなしています。」
一方、タックアン県党委員会のホアン・バン・タック委員長は、「仙草が現地の持続可能な貧困解消に貢献するためには、仙草の栽培拡大、仙草商品の確実な商号作りなどを行う方針である」と明らかにしました。
(テープ)
「私たちは、現地における仙草のゼリー工場の建設への投資を呼びかけます。現在、仙草のゼリー生産は、大規模ではないので、乾燥した仙草の葉と茎は主に中国に輸出されています。私たちは、科学技術省に現地の仙草の商標登録をしています。」
これまでに、カオバン省の生産条件に見合うようなブラックゼリーの生産に関する幾つかの研究結果がありました。例えば、仙草の茎をじっくり煮出してエキスを取り出しゼリーにすることや、半製品ブラックゼリーパウダーの製造工程、ブラックゼリー抽出物と半製品ブラックゼリーパウダーからの缶詰、または、ブリスターブラックゼリーの製造工程などです。もし成功すれば、これらの科学研究結果は、カオバン省が輸出基準を満たす大規模なブラックゼリー工場の建設を検討するための基礎となります。