(VOVWORLD) -ゴザを織る伝統工芸村カーホム・ベンバーは南部チャビン省チャクー県ハムタン村に位置しています。この村では、ゴザ織りに従事する人の8割は少数民族クメール族です。
チャビン省におけるゴザ織りは1920年から始まったそうです。当初、村人は家庭内用にゴザを織りました。1940年までに、ゴザを商品化しました。ゴザ織りの職人の話をお聴きください。
(テープ)
「私は1945年に生まれましたが、ゴザ織りにたずさわって数十年も経ちましたよ」
(テープ)
「母からゴザ織りを教わりました。夫は、他の地方に住んでいましたが、私と結婚してからも、ゴザ織りに従事しています。あれからもう数十年になりますね」
(テープ)
「この地方で栽培されるイグサはゴザを織るのに一番良い原料です。ゴザは、しなやかで美しいですから」
カーホム・ベンバー村で製造されたゴザには、幅1m、長さ1.9mと幅1.6m、長さ2mの2種類のサイズがあります。また、着色料を使っていない天然のイグサの色のシンプルなゴザのほかにも、白、赤、青、黄、紫の主要5色による花、文字の模様で施されるカラーゴザもあります。ゴザを織る前に、刈り取りが終わったイグサを染料に浸し、水切り後に乾燥させます。そして、織り機でゴザを一枚ずつ織っていきます。
カーホム・ベンバー村のゴザは、5年使用していても、非常に耐久性があり、ずれたり色あせたりすることはありません。ゴザ織り職人であるキム・ホアさんによりますと、ゴザ織りは手作業で行われますが、そんなに難しい作業ではありません。模様に応じて、色のついたイグサを順番に入れていくだけです。
一方、ゴザ織りの職人であるリ・ティ・ハーさんは次のように語っています。
(テープ)
「一日、私と夫は2枚しか織っていません。1枚のゴザは10万ドン(578円程度)で販売されます。収穫したイグサをまとめて染料に浸し、天日干しは数日間もかかります。そして、それらのイグサを使いきったら、またイグサを染めます」
1970年代に、ナイロン製のゴザが市場に出荷されたため、カーホム・ベンバー村のゴザは激しい競争に直面せざるを得ませんでした。しかし、ナイロン製の寝ゴザは、汗をきちんと吸い取ってくれませんし、暑く感じるというデメリットがありました。その一方で、カーホム・ベンバー村のゴザは天然素材ならではのやさしい肌触り、それに汗をかいても、心地よく寝られるというメリットにより、再び消費者から愛用されるようになりました。
しかし、1990年代、ゴザの職人が原材料調達が難しくなり、ゴザの模様も陳腐化し、市場で競争できないため、カーホム・ベンバー村のゴザ織り職業は消滅の危機に瀕していました。このような中、ゴザ織りのベテラン職人ゴ・ティ・フォーさんは、デザイン、配色を自分で創作し、両面同じ色・同じ風合いのゴザ織りに着手しました。試行錯誤を重ねてやっとゴザの商品化に成功したのは2000年のことでした。2001年に、ハムタン村の行政当局の後押しを受けて、フォーさんは、ゴザ織りの職人に両面使えるゴザの織り方を教えました。
これまでに、およそ450世帯がゴザ織りで生計を立てています。ゴザ織りのカーホム・ベンバー村は毎年、およそ30万枚のゴザを出荷しています。地元の行政当局は、ゴザ織りの安定化と持続可能な開発、製品の質向上、および消費市場の拡大を図るため、「ハムタン」という名のゴザ・絨毯生産協同組合を発足しています。カーホム・ベンバー村のゴザは主に南部メコンデルタ、南東部地域で消費されています。
ゴザの販売者ド・マイ・ホアさんは次のように明らかにしました。
(テープ)
「1年で、およそ7千枚のゴザを販売します。カーホム・ベンバー村のゴザは、質の高い素材で作られており、質感はやわらかなものです。旧暦の年末年始はゴザの売れ行きは好調です」
100年余りの歴史を誇るゴザ織りのカーホム・ベンバー村の職人たちは、丈夫でユニークなゴザを作ってきました。チャビン省チャクー県ハムタン村に住むクメール族の人のゴザ織りは、文化スポーツ観光省により伝統工芸として、国家の無形文化遺産リストに掲載されています。