ベトナム各地に広がる「大きな田んぼ作り」プログラム
周辺地域一体を大きな田んぼと見立て、効率よく稲作を行ういわゆる“大きな田んぼ作り“プログラムが、ベトナムの21の省で展開されています。
ベトナム政府が進める新農村作り運動にも効果をもたらしていて、プログラムに参加する生産者の収益も上がっています。協力企業が農業協同組合から、収穫された全ての米を買い取るためです。
ベトナム中部のタイニン省ベンカウ県では、農業農村開発省の指導の下で、このプログラムが300ヘクタールの田んぼで実施されていて、数百世帯の農家が参加しています。タイニン省の各企業は農業協同組合と協力して、農業機器や肥料などを生産者に提供しています。タイニン省農業農村開発局のウォンコクトイ局長は次のように語りました。
(テープ)
「以前は、収穫された米の売買はなかなか難しかったんです。現地で米の加工工場が作られてから、買い取り企業と生産者の距離が縮まり、米の流通がスムーズになりました。タイニン省内の企業が、種や肥料や農薬を生産者に安く提供しているのも、スムーズな米の流通の一因でしょう。」
南部のロンアン省には20の「大きな田んぼ」があり、その総面積は4100ヘクタールにのぼっています。ロンアン省でも生産者が、種や肥料、安全な農薬などで支援を得ているほか、良い価格で米を卸すことができます。ロンアン省の農業農村開発局のレミンドク局長は次のように話しています。
(テープ)
「本来、収穫された米すべてを買い取ってもらうのは非常に難しいことです。しかし、“大きな田んぼ作り”プログラムが効果的に実施されているため、企業が収穫されたすべての米を買い取るようになりました。」
“大きな田んぼ作り”プログラムによる農民の収益は、1ヘクタールあたり平均で、2百万ドンから3百万ドン増えると報告されています。最新の農業機械の使用によって、著しい成果を収めています。一方で、こういったプログラムを実施していない地方もあります。ベトナム農業農村開発省植物栽培局のファムドンクァン副局長は次のように話しています。
(テープ)
「“大きな田んぼ作り”プログラムに関して、これまでに収めてきた成果と残されている問題を再考しなければなりません。生産者と企業への政府の支援の分析も必要です。地方政府もこのプログラムに関して様々な政策を考え、多額の投資を行っています。今後は、企業がこのプログラムにより積極的に参加するよう、米の加工工場や備蓄倉庫の建設に低金利で資金を提供する必要があります。そのほか、参加企業への有利な条件を作り出さなければなりません。」
ベトナムにおける農業は、着実に発展の道のりを歩んでいます。生産者は自らの土地で豊かな生活を送っています。近い将来、全ての地方に、この“大きな田んぼ作り”プログラムが展開されることが期待されています。