(VOVWORLD) -ハノイ市郊外にあるフースエン県スアンラ村は昔からトーへ(Tohe)作りで広く知られています。
トーへというのは日本の飴細工に似たベトナムの子供の伝統的玩具一つです。この玩具は色々な色を付けたもち米粉を原料とし、人や動物、果物、花など様々な造形物を作り、棒に指すのが普通です。トーヘ職人は、子供たちの要望に応えて、大道芸として親しみをこめて動物、鳥をモチーフにした様々な形を目の前で作ってくれるので、子供から大人までを楽しませてくれます。これは、トーへの商売となっています。職人の話です。
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「我が村のトーへ作りは約300年前から始まったそうです。私たちの世代は先祖代々から伝わってきたこの伝統的職業を維持したいです。村の伝統的祭日の旧暦1月15日になると、村人はトーへ作りコンクールを行います。トーへ職人120人からなるトーへクラブも活動しています。このクラブのメンバーたちは毎月少なくとも1回は集まって、経験交換をしたりします。私たちは、ASEAN加盟諸国の他、日本、韓国、中国、アメリカの代表との文化交流に参加して、技を披露したこともありましたよ。」
屋外で作業をするので、ハノイ市内の公園や娯楽施設など多くの子供が集まっているところに行くと、トーへ職人の姿をよく見かけます。職人たちの道具はとてもシンプルです。色づけをしたもち米粉、細部をかたどる為の櫛、15センチ、直径0.3センチほどの竹の棒などが木製の箱の中に入っているだけです。職人たちは、その箱を自転車の後ろにくくりつけて回ります。最近では、子供向けの大きなイベントやお祭りなどに呼ばれ、子供たちのリクエストに応えるというスタイルも多くなってきました。本物とそっくりに作る為には、職人の器用さが厳しく求められています。他の職人の話です。
(テープ)
「トーへ作り工程の中に、重要なのは、もち米の粉を茹でる技術ですかね。季節によって、茹で上げの時間が違います。例えば、冬は粉の粘りは夏より強いです。昔、お米の粉の染色は、果物や野菜、根菜を原料にした『自然の色』が一般的でした。でも最近は鮮やかな色が多くなってきました。」
現在、トーへ作り職人は顧客の嗜好に十分に応えるために、絶え間なく技を鍛えています。以前、トーへの形は主に果物、動物でしたが、現在では、十二支の動物や、中国のドラマ「西遊記」の孫悟空、アニメや漫画のキャラクターなど多様化しています。
もう一人のトーへ職人の話です。
(テープ)
「今日のトーへの形は以前より豊富になってきました。そこで、トーへ作りは手先の器用さと想像力が求められていますね。伝統的玩具ですから、トーへは様々な形を持っています。トーへ作り職人は、お客さんからどんなリクエストにも応えることができます。スアンラ村のトーへは、形が多くで美しく、鮮やかな色で作られます。」
一つのトーへを作れるのに5分くらいかかります。大体1万ドン(約50円)です。しかし、普段10個ほどしか売れない時もあったそうです。職人たちは、お金だけが目当てでこの仕事を選んだのではないのでしょう。食べられず、使用期限一週間ほどの短命玩具ですが、現在、近代的なスマホが普及する中で、素朴で味わいのある玩具として存在しています。