(VOVWORLD) -ずっと昔から、ベトナム人の考えでは、犬は幸運をもたらす動物であると見なされています。ハノイ市郊外ダンフォン県ディックビ(DichVi)村は現在でも犬の石像を祀る習慣が保たれています。
この村の伝説によりますと、昔、ある地方に二人の兄弟がいました。兄はゴック・チ、弟はホアン・タックという名前です。兄は敵との戦いに赴く為に、家に弟と妻を残して出かけてしまいました。そして、戦いが終わって、家に帰ると、妊娠中の妻を見て、直ちにその弟が妻に不正な行為をとったという疑惑を抱きました。それから、浮気疑惑を浮上しながら、怒りを露にした兄は弟に「俺ーは犬だ」と叱れながら、弟を殺害しました。しかし、その後、妻が赤ちゃんではなく異常なものを出産してしまいました。その時、はじめて弟の冤罪が晴れました。その愛の冤罪と疑われた弟は死後に犬の石像の化身とされたそうです。この犬の石像はディックビ村にある川に流されました。
村人は、その犬の石像を見つけるととても不思議だと思っていて、川から引き上げて、祀ることにしました。犬の石像を祀ってから、現地住民は円満な生活を送れるようになりました。
村人の話です。
(テープ)
「犬の石像は村人から神聖視されています。例えば、財産を盗まれたら、犬の石像に線香をあげると、その財産が見つかるケースもあったよ。」
写真:Lê Trang/ Bưu Điện Việt Nam |
村の軒先にある高い丘の頂上に、現在でも、数匹の犬の石像が置かれています。全ての犬は大理石で刻まれています。約10平方メートルの敷地の真ん中には高さ1メートルに及ぶ一番大きな犬で、その周りにはそれぞれの格好をした数匹の子犬が置かれています。
ディックビ村の高齢者によりますと、昔、村人の間には喧嘩や対立などで仲良くないことが発生したら、犬の石像に線香を手向けながら、それらの問題を述べてから、全ての矛盾が和解されるようになったようです。犬の石像は村の住民にとって神聖な神様として馴染みのマスコットの存在です。
もう一人の村人の話です。
(テープ)
「毎月の旧暦1日と15日になると、村人は、犬群れの石像に線香を手向けに行きます。ここで、何か願いしたいことがあれば、神様に祈願します。例えば、子供が大学入学試験で合格できることなどです。」
犬の石像を祀ることはディックビ村の独特な習慣となることでしょう。