(VOVWORLD) - EU=欧州連合の首脳会議が先ごろ、ベルギーのブリュッセルで始まり、イギリスとの間で進めている離脱交渉について、離脱後の通商関係など第2段階の協議に移ることを承認しました。首脳会議は2日間の日程で行われました。
写真:euractiv |
イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票は、2016年6月23日、イギリスで実施されました。しかし、その後、2017年中、イギリスとEU加盟諸国は交渉に悩んできました。
第1段階が難航
この半年、イギリスとEUは複数の対話を行ってきましたが、対立点が山積しました。離脱交渉を巡っては、離脱に伴ってイギリスに支払いを求める清算金のほか、在イギリスEU市民の権利保護、アイルランド国境管理の3分野の交渉を「第1段階」として合意を最優先しました。イギリス側は分担金の支払いを拒否したため、交渉が序盤から紛糾する懸念が強まっています。欧州委員会のユンケル委員長は9月29日、イギリスのEU離脱を巡る交渉に関して、貿易関係に関する次の段階の協議を始めることができるほど「十分な進展」が、奇跡でも起こらない限り10月末までに十分な進展はないだろう」と述べました。
その後の10月3日、欧州議会は、イギリスのEU離脱交渉を巡って、将来の通商協議入りの判断を先送りするよう求める決議を採択しました。この決議はこれまでの離脱交渉では「十分な進展はまだ得られていない」と判断し、EU首脳会議に対し、10月の会議で十分な進展が得られたかどうかを評価するのを「延期」するよう求めました。
ついに、12月8日、欧州委員会はイギリスのEU離脱交渉で、移行時期や今後の通商関係に関する協議に移るにあたり、十分な進展があったとし、すぐに第2段階の交渉に向けた作業に着手できると明らかにしました。
EU、優位に立つ
離脱交渉を振り返ると、イギリス政府は具体的な交渉戦略や段取りを提出できなかったことから、EUは優位に立ちました。イギリスは通商関係に関する協議入りをあせぐがあまり待つことができなかったため、EUのほとんどの条件を受け入れました。こうした中、イギリスのEU離脱が「ドミノ結果」によって、他のEU加盟国に波及するリスクへの対応を目指し、EU加盟27カ国は離脱問題を慎重に検討し、コンセンサスを示しました。12月8日、英国とEUはイギリスのEU離脱交渉を巡り、清算金、在英EU市民と権利、アイルランドの国境問題の3分野で合意に達したとの共同文書を発表しました。EUのバルニエ首席交渉官は記者会見で「われわれは離脱合意の最終版を2018年10月までに準備ができているようにする必要がある。あと1年もない」と述べました。