(VOVWORLD) - 新型コロナの深刻な影響を受けたにもかかわらず、2021年の世界経済は危機から脱出し、回復の軌道に乗っています。
しかし、変異ウイルス「オミクロン株」の出現や、サプライチェーンが壊れたこと、インフレ率が高まっていることにより、世界経済の回復は先行きの不透明に直面しています。
世界のインフレ(WSJ) |
前向きな兆し
(IMF)国際通貨基金は今年の10月、2021年の世界経済の成長率は7月時点予測の6%をやや下回るとの見通しを示しましたが、2020年のマイナス成長から見ると、これはかなりの前向きな兆しであるとされています。
IMFの最新の世界経済見通しで、先進国の国内総生産(GDP)は2022年までにパンデミック前に回復しますが、新興国や途上国の多くは回復には「何年もかかる」と予測しています。米国と中国は依然として、重要な成長エンジンであり、欧州は勢いを増していますが、その他の地域では成長が悪化していると指摘しました。
一方、OECD経済協力開発機構が12月1日に発表した「エコノミックアウトルック中間報告」によりますと、2021年の世界の経済成長率を5.6%、2022年を4.5%としています。
他方、日本総合研究所は、2021年の世界経済は半導体不足などの供給制約を主因に2021年後半に回復ペースが鈍化していると指摘しましたが、今年の前半の急回復が効く形で通年で5.8%の高い実質成長率に達する見込みであるとしています。
リスクと不透明感はまだ多い
日本総合研究所の報告によりますと、今後は、供給制約が徐々に緩和するほか、各国で積みあがった家計貯蓄が消費を下支えするため、回復傾向が続く見込みです。もっとも、政策効果の剥落、雇用回復の遅れ、ワクチン格差などから、世界経済の成長率は2022年が4.3%、2023年が長期平均並みの3.5%と緩やかにスローダウンする見通しです。当面の世界経済は底堅い成長が見込まれるものの、リスクも多く、不透明感が強いなかでの景気回復となる公算であるとしています。日本総合研究所はリスクとしては、新型コロナの変異株の感染拡大に加え、インフレ、資産バブル、過剰債務の3点を指摘しています。
IMFも主要なリスクはインフレが世界的にも高まっていることであると指摘しました。インフレ圧力は、2022年には大部分の国で落ち着くと予想されますが、一部の新興国や途上国には引き続き影響を及ぼし、インフレ期待の持続的な高まりは、金利の急激な上昇や金融環境の引き締めを引き起こす可能性があると警告しました。
しかし、多くの経済専門家によりますと、2021年の世界経済は、コロナ・ショックからの持ち直し一巡に感染再拡大の影響が加わり、各地で景気が減速しました。2022年は、欧米を中心に感染が再拡大する中、新たなオミクロン株による感染が広がり、不透明感を強めながらのスタートとなりますが、これまで通りの行動制限やワクチン接種に治療薬の普及も加わり、春頃にはコロナの影響を抑え込み、景気は明るさを取り戻し、脱コロナを実現し、経済正常化がメインシナリオになることでしょう。