既にお伝えしましたように、アメリカのバイデン大統領の招きに応じて、ベトナムのファム・ミン・チン首相が５月１１日から１７日にかけてアメリカを訪問します。訪問期間中、チン首相は、ASEAN東南アジア諸国連合とアメリカとの関係樹立４５周年にあたりワシントンで開催されるASEAN米特別首脳会議に出席します。この訪問は、「独立、自主、平和、友好、協力、全方位、国際関係の多様化、広範な国際統合」というベトナムの外交政策を示すチャンスであると期待されています。

ファム・ミン・チン首相

ベトナムとアメリカ 包括的なパートナーシップの効果向上

ベトナムとアメリカの外交関係が正常化してから２７年経ちました。この２７年間、両国関係は互恵、独立・主権・領土保全・政治体制への相互尊重を基礎に、多くの分野において大きく発展してきました。２０２１年、両国の貿易総額は１１１０億ドルを超え、前年と比べ23.3％増となっています。また、両国は新型コロナ予防対策や、経済回復、国防・安全保障、戦争後遺症克服、気候変動対応、教育など多くの分野における協力を促進させています。また、近年、アメリカは、インフラ整備や、サプライチェーンの確保、エネルギー、デジタル経済などベトナムが関心のある分野への協力を拡大する用意があるとしています。在ベトナムアメリカ大使館のマーク・ナッパー大使は次のように語りました。

（テープ）

「すべての訪問は両国の友好関係と相互理解を深化させるチャンスです。将来、アメリカ大統領の訪越を歓迎できることを望んでいます。今回のアメリカASEAN特別首脳会議は、ファム・ミン・チン首相を含む東南アジア地域の指導者らをアメリカで歓迎する素晴らしいチャンスです。具体的にどんな事ができるかは言及できませんが、ベトナムとアメリカが一緒にできることはたくさんあります」

今回の訪問で、チン首相はアメリカ側と実質的、効果的な会見・会合を行い、両国関係の促進のほか、共に関心のある地域と国際問題について意見交換をする予定です。

ASEAN米の協力を拡大

ファム・ミン・チン首相のアメリカ訪問の主な活動はASEAN米特別首脳会議です。このサミットは双方の信頼関係を強化し、経済協力や市民レベルでの交流を促進させるなど、双方の今後の協力の方向性について話し合うためのものです。在アメリカベトナム大使館のグエン・クォック・ズン大使は次のように語りました。

（テープ）

「今回のサミットは指導者らが双方の今後の協力の方向性について意見を述べるチャンスであり、ASEAN諸国の指導者らがアメリカに対し、地域へのアプローチ方法を提案するチャンスでもあります。サミットの結果は双方の今後の関係づくりや、政策の調整にもつながるでしょう」

ズン大使によりますと、ベトナムは地域と世界の平和・安定・繁栄のために、ASEANとアメリカとの戦略的パートナーシップを一段と発展させる方針で、今回のサミットに出席するとしています。

また、今回の訪問を機に、チン首相は国連の指導者らとも会合を行い、２０２２年から２０２６年期のベトナム国連包括的協力枠組みの展開について話し合う予定です。その中で、気候変動対策、環境保護、包摂的社会の開発、ガバナンス強化は主要議題となる見込みです。

その意味で、ファム・ミン・チン首相の今回のアメリカ訪問はベトナムの対外路線を示す良いチャンスであるといえるでしょう。