(VOVWORLD) - 今回のBRICS首脳会議は、BRICSの威信や役割への疑問を解消するチャンスであると見られました。
中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカの新興5カ国(BRICS)の第9回首脳会議は3日から5日にかけて中国福建省アモイで開催されました。「BRICSパートナーシップを深め、さらに明るい未来を切り開く」をテーマとした今回の会議は、BRICS加盟国のこの16年間の協力の道程を振り返り、開放・包摂、協力・ウィンウィンのBRICS精神を再確認し、BRICS協力の今後の発展ビジョンをまとめるのが狙いですが、中国とインドとの国境紛争や、南アフリカとブラジルの経済停滞などにより、BRICSの今後の発展について疑問視されています。
写真:AFP/VNA |
BRICSとは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国の頭文字を取った造語です。2001年、米金融大手ゴールドマン・サックスが投資家向けリポートで急成長が予想される国として南アフリカを除く4カ国を「BRICS」と名づけ、広まりました。2011年から南アフリカが参加したことにより、5カ国の総人口は全世界の約4割に当たり、GDP国内総生産は約2割を占めています。こうしたBRICSはG7やG20と肩を並べられるような威信を高めています。
BRICSの困難
しかし、近年、BRICSは多くの困難に直面しています。ブラジルはこの2年、政治面でも経済面でも危機に陥っています。テメル大統領への捜査妨害容疑がくすぶるなど政治的な不透明感は続いています。そして、ブラジル経済は2年の景気後退を経て、徐々に回復に向かっていますが、経済成長率はわずか0.2%です。
南アフリカも経済停滞に悩んでいます。そして、アメリカの経済制裁を受けているロシアは世界の経済大国トップ10から脱落しています。
残りの加盟2カ国である中国とインドの関係は、両国の国境付近で双方の部隊が2カ月あまり対峙していた問題で、悪化しています。
BRICS 威信強化に取り組む
これにより、今回の首脳会議は、BRICSの威信や役割への疑問を解消するチャンスであると見られました。
中国の習近平国家主席はBRICS商工フォーラムの基調演説を行い、BRICS諸国は力を合わせて経済グローバル化を正しい軌道に導くべきだと述べました。また、発展途上国への支援のために中国が5億ドル(約550億円)を拠出すると明らかにしました。そして、習近平国家主席は、BRICS諸国は自身の優勢と影響力を発揮し、協力分野と利益範囲を拡大し、「BRICS+」の協力モデルを推進し、より多くの新興国と発展途上国を味方に引き入れ、団結・協力、互恵・ウィンウィンの事業に参入させよう。」と強調しました。
他の途上国を引き入れることで、国際社会を主導する欧米への対抗軸として存在感を高める狙いがあるBRICSは今後の発展方向について国際社会の注目を集めています。