COP 24:パリ協定の実行ルールを定めるチャンス
(VOVWORLD) -2015年に採択されたパリ協定は、今世紀後半に世界の温室効果ガスの排出を実質ゼロにして、産業革命前からの気温上昇を2度未満、努力目標として1.5度に抑えることを目指しています。
COP24=国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議は、世界の190を超える国と地域が参加して、ポーランドで、14日まで開かれています。2015年に採択されたパリ協定は、今世紀後半に世界の温室効果ガスの排出を実質ゼロにして、産業革命前からの気温上昇を2度未満、努力目標として1.5度に抑えることを目指しています。
珍しいチャンスであるCOP 24
この間、猛暑、豪雨、強力な台風の襲来など異常気象が世界各地で相次いでいます。原因の一つに温暖化があると言われています。そこで、一刻も早くルールを定め、削減行動の加速につなげる必要があるということです。
国連の気候変動に関する政府間パネルがまとめた報告書によりますと、温暖化に伴う気温上昇が早ければ2030年に1.5度に至り、自然災害が多発し、生態系にも深刻な影響が出る恐れがあります。
従来は気温上昇が2度を超えると被害が大きくなるとされてきましたが、「1.5度」でも被害は甚大になることが鮮明となりました。1.5度という上昇抑制数値は努力目標ではなく、必達の目標にする必要があるということです。しかし、今の取り組みでは2度未満という目標すら達成できないようです。
国連環境計画は、目標達成には2030年の世界の温室効果ガス排出量を2017年と比べ25%削減する必要があると報告しました。各国の現在の削減目標では、今世紀末に3度ほどの気温上昇を招くということです。
こうした状況の下で、今回の会議は、2020年以降の温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」を確実に実行に移すうえで必要なルールを決めることが目標です。温室効果ガスの削減に向けた各国の取り組みをどのように検証するのかや、先進国が途上国に対してどのような支援を行うのかなど、ルールの中身をめぐって交渉が行われることになっています。
目標達成しにくい
今回のCOP 24会議には、国連代表の全員が参加しました。それに、主要20か国・地域から出席した首脳級の代表は一人もいなかったということです。
また、COP 24開催前に、ブラジル新政府は来年のCOPの開催の誘致をやめることを明らかにしました。
さらに、先進国と途上国の間の意見の隔たりは大きく、アメリカのトランプ政権が「パリ協定」からの脱退を表明していることや、南米最大の温室効果ガスの排出国・ブラジルで、温暖化対策に後ろ向きとされる新政権が誕生することの影響が懸念されています。
注目すべきことは、2020年までに途上国による1000億米ドルの気候資金の拠出が約束されましたが、実際、パリ協定発効から3年後に、気候資金の拠出は100億ドルだけに留まっているということです。
会期中、各国が温室効果ガスの削減目標や取り組みの状況をどのように報告し、検証するかや、先進国から途上国に対して資金や技術の支援をどのように進めていくのかなど、ルールの中身をめぐり交渉が行われますが、これまでの交渉では、先進国と途上国の意見の隔たりは埋まっていません。
先進国は、途上国側の中国やインドなどの温室ガスが近年急増していることを踏まえ、各国でルールを共通化するよう主張する一方、途上国は資金や能力不足を理由に、柔軟に運用するよう求めています。アフリカや島しょ部といった地域では、実際に資金不足などの理由で温室ガスの算定が難しい国もあります。
交渉では、先進国が資金や人材面で支援を約束する代わりに、どこまで共通のルールを作れるかがポイントになりそうです。