国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が11月30日、フランスの首都パリで開幕しました。「全人類の希望」を一身に背負い、この歴史的会合に結集した各国首脳らは、それぞれの立場を隔てる溝を埋め、壊滅的な気候変動から人々を救おうと誓います。
今回の会議は、自滅への瀬戸際にある状況の中で行われるもので、国際世論の注目を集めています。会議の前、国連は、この20年、気候変動による死者は60万人以上に上っているとの報告を出しました。
COP21(写真:COP21ウェブサイト)
会議の協調性
今回の会議では、長い間、地球温暖化対策に消極的だったアメリカや中国を含め全ての国が参加する国際的な温暖化対策の枠組みに合意し、温室効果ガスの大幅な排出削減への道筋をつけることが重要です。
アメリカのオバマ大統領は各国政府に対し、温室効果ガス排出削減のための長期的な枠組み構築の必要性を訴えました。同大統領は「アメリカはこの問題を生み出した自らの役割を認識しているばかりでなく、それに対して何かする責務を担うことを告げるためだ」と述べました。
中国の習近平国家主席は「気候変動問題への対応は人類共通の使命だ」と述べ、「成長の早い中国経済は、環境面で代償を払ったが、今は環境重視の発展に力を入れている」とアピールしました。
ベトナムのグエン・タン・ズン首相は、「2030年をめどに、温室ガスの排出量を8%削減すると公約しました。また、「もし、国際社会の効果的な支援を受けるなら、25%まで削減可能である」と述べました。
溝の浮き彫り
しかし、各国の間には大きな溝が残っているのは浮き彫りです。国連は1995年以来、地球温暖化対策の年次会合を開催してきましたが、常にその努力を行き詰まらせてきたのは、富裕国と貧困国の対立でした。
貧困国の多くは、産業革命以降化石燃料を燃やせるだけ燃やして繁栄への道をまい進してきた富裕国こそ、責任の大部分を負うべきだと主張しています。一方、アメリカをはじめとする先進諸国は、急速に成長する経済を支えるため、貪欲に石炭を燃やし続けている中国・インドといった巨大な新興国も、より大きな貢献をしていくべきだと訴えています。
中国の習近平国家主席は演説で、中国が炭素排出量を2030年までに減少に転じさせると誓約した一方で、貧困諸国が気候変動に対処するのを支援するために「先進国は、2020年までに、毎年1,000億ドルの資金援助の約束を守るよう求める」と述べました。
また、今回の会議では、従来のような法的拘束力のある国際条約での合意を目指すのではなく、各国による温暖化ガス削減目標の公約が重視される見通しです。しかし、各国が掲げる温暖化対策には努力目標にとどまるものもあると懸念の声が上がっています。
世界の人々は、地球の未来、生命の未来が懸かっている今回の会議で、各国の首脳が溝を埋め、気候変動への効果的な対策を見出すと、大きな期待を持っています。