(VOVWORLD) - 28日と29日、ブリュッセルで、EU=欧州連合首脳会議が行われ、難民問題は主要議題となる見通しです。しかし、サミットの前に、この問題に関する合意が達成しにくいことを示す多くの兆しが出ています。そして、問題解決のために、さらに時間がかかると予測されています。
欧州の難民危機は2015年から2016年にエスカレートしていましたが、EUとトルコとの合意や、イタリアとリビアとの協定などの達成により、緩和しました。しかし、その後、欧州諸国は政治的意識に関する危機に陥っています。問題点は、今後、どこの国が欧州に来る難民に対する責任を負うかということです。
(写真:AP) |
亀裂
EUでは、中東や、アフリカからの難民が漂着するイタリアなどが公平な負担をすべきだと不満を強めているのに対し、難民の流入を抑えるよう求める世論が強まったドイツなどはこれ以上の受け入れに消極的で、各国の対立が続いています。
こうした中、EUは24日、ベルギーの首都ブリュッセルにある本部で、加盟国の間で対立が深まっている移民や難民の受け入れ制度の見直しについて非公式緊急首脳会議を開きましたが、各国の立場の違いは埋まりませんでした。
会議には、ドイツやフランスなどのほか、移民や難民にとってEUの「玄関口」となっているイタリアやギリシャなど16か国の首脳が参加する一方、移民の受け入れを拒否しているハンガリーなど中東欧の4か国は参加しませんでした。
会議のあと、ギリシャのチプラス首相は、「大きなジレンマを抱えており、解決しなければならない」と述べ、各国の立場の違いが埋まらなかったことを明らかにしました。一方、ドイツのメルケル首相は「2~3か国ごとの合意が不可欠だ」と述べ、全体の合意を目指す前にイタリアなどと個別に協議し、事態を打開したいという考えを示しました。
EUは28日と29日に開かれる首脳会議での合意を目指していますが、各国の立場は大きく隔たったままで、足並みをそろえるのは困難な状況が続いています。
サミットは成果を収めるか?
複数の筋によりますと、この首脳会議では、難民の帰還や、保護、難民流入防止対策、人身売買防止対策のための協力などが討議される予定です。
特に、難民問題を巡り連立政権存続の危機に直面するドイツ、反体制主義を掲げる政権が誕生したばかりのイタリアの両国に配慮した難民対策を打ち出す見通しです。しかし、アナリストらの分析によりますと、難民問題のせいで、欧州の亀裂が深刻になるおそれを懸念しています。