19日、ブリュッセルで、EU=欧州連合首脳会議が開幕しました。今回は、様々な問題について討議する予定ですが、ロシア制裁、ウクライナへの支援などは主要議題となる見通しです。この会議は、EU内の団結、コンセンサスにとって試金石として見られています。
ロシア制裁が効果をあげず、ウクライナ危機の行き詰まりがまだ打開されていない中で、今回の会議では、ギリシャ金融危機や、ユーロ圏の発展方向などのほか、ロシアに対する制裁措置を延長するかどうかや、ウクライナへの軍事支援を行うかどうかが討議されます。これらの問題により、EU内に亀裂が生じています。
立場の隔たり
ウクライナ問題に関し、EU諸国の立場は大きな隔たりがあります。特に、ロシアに対する政策や、ウクライナへの軍事支援は意見の一致に至っていません。
首脳会議の前に、7月に期限を迎える対ロシア制裁措置の延長の是非について、イタリアや、ギリシャ、キプロス、スペイン、オーストリア、ハンガリー、スロベニアの7カ国が新たな制裁案を支持しないと発表しました。こうした中、EUのトゥスク大統領は、ウクライナ情勢をめぐる対ロシア制裁をウクライナ東部の停戦合意いわゆるミンスク合意の完全履行に関連付けるという提案をドイツやフランスの首脳と協議しました。
ミンスク合意はウクライナが国境地帯を完全掌握する期限を年末に設定しているため、同合意と対ロシア制裁を関連づけた場合は事実上、制裁を少なくとも年末まで延長する方針を示すことになります。
制裁で問題解決できず
アナリストらは、欧米諸国は対ロシア制裁を強化しても問題を解決できないと指摘しています。EUの加盟国ギリシャのチプラス新首相は、ロシアに追加制裁について、「相談を受けていない」と主張し、「内容に同意していない」と述べ、反対の立場を鮮明にしています。ドイツや南欧諸国などにも異論があります。
特に、ロシアは屈しない姿勢を示しています。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ南部のクリミアを併合してから1年になるのを記念する集会で演説し、クリミア併合を正当化するとともに、「外部からもたらされたあらゆる困難を克服する」と述べ、欧米の制裁に対抗する姿勢を強調しました。
こうした中、アナリストらは、「この背景の中で、今回のEU首脳会議は打開策を見出し、立場の隔たりを埋めることができるかどうかは焦点となる」との見方を示しています。