中国浙江省杭州で9月4日と5日の両日、日本や、アメリカ、欧州諸国に新興国を加えた20カ国・地域G20の首脳会議が開かれます。今回の会議の主要議題はもちろん、経済協力ですが、領海紛争問題も触れられる可能性があるとされています。
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これまで、G20は金融・財政政策や、発展途上国と先進国との協力などに集中してきましたが、世界的金融危機が発生した2008年から、加盟諸国は協力分野の拡大の重要性を認識し、他の分野でも協力を進めています。
今回の会議には、加盟20カ国のほか、主催国中国はエジプトとカザフスタンを招きました。また、AU=アフリカ連合輪番議長国のチャド共和国や、ASEAN輪番議長国のラオスも参加します。
主要議題となる経済問題
G20は世界経済に重要な役割を果たしており、全世界のGDPの85%、そして、取引総額の80%を占めています。初の議長国を務める中国はG20首脳会議で、世界経済の持続可能な成長や、構造改革、貿易と投資の推進、国際金融の枠組み強化を主要議題に挙げています。
8月29日には国際金融デジタル化と情報共有の枠組みなど、新たに3つの提案を行う方針も表明し、関心を経済問題に集中させようと躍起になっています。また、中国のオウ・ギ外相は、「開催期間中、これまで最大規模の企業サミットを行う」と明らかにしました。
さらに、BRICS=ブラジル、ロシア、インド、中国の4ヶ国首脳会合も開かれる見通しだということです。日本の安倍首相や、アメリカのオバマ大統領なども経済協力に対する今回の会議の重要性を強調しています。
領海紛争問題も討論される?
しかし、アナリストらは、「今回の会議は経済問題だけではなく、領海紛争問題にも触れる可能性がある」と予測しています。アメリカ・ホワイトハウスは8月29日、中国を訪問するオバマ大統領が9月3日に中国の習近平国家主席と首脳会談を行うと発表しました。オバマ氏は会談で、中国が一方的な海洋進出を続けるベトナム東部海域(いわゆる南シナ海)の問題などについて取り上げる意向です。ホワイトハウスのベン・ローズ大統領副補佐官が29日の記者会見で明らかにしました。
一方、今回のG20サミットに参加するインドネシアのジョコ・ウィドド大統領は8月16日、領海紛争問題の解決に向け、積極的に関与していく方針を示しました。ジョコ・ウィドド大統領は7月12日に出されたオランダ・ハーグの仲裁裁判所の判決に言及し、「インドネシアは平和的な話し合いを通じた紛争解決に向け積極的に関与する」と語り、「われわれは国際的な紛争の平和的解決に努める」と強調しました。
こうした中、アナリストらは、「世界経済状況が複雑に推移している背景の中で、今回のG20サミットは各国が協力して、経済成長強化策を見出すチャンスと見られるが、領海紛争問題の影響もある」との見方を示しています。