(VOVWORLD) - NAFTAはアメリカとメキシコによる二国間協定になる恐れがあると見られています。
NAFTA=北米自由貿易協定の再交渉をめぐるアメリカとカナダの大詰めの協議は、期限とされた8月31日までにまとまらず、9月5日へ持ち越しが決まりました。アメリカのトランプ大統領がカナダを侮辱するような発言が暴露され、カナダ側が態度を硬化させた可能性もあることから、NAFTAはアメリカとメキシコによる二国間協定になる恐れがあると見られています。
カナダのトルドー首相(左)とアメリカのトランプ大統領(右) |
米とカナダ 溝埋まらず
NAFTA=北米自由貿易協定は1994年に発効し、アメリカ、カナダ、メキシコの3か国が相互に関税を撤廃している協定です。しかし、トランプ大統領は、おととしの大統領選挙の期間中からNAFTAによって国内の雇用が奪われてきたとして協定を見直す再交渉を求めてきました。
NAFTA再交渉では妥結を急ぐアメリカが8月31日を期限に設定し、譲歩したメキシコとは先週初め、合意に達しました。しかし、カナダは、4日間にわたる閣僚級の議論でアメリカが要求する乳製品への関税の引き下げなどに猛抵抗したもようで、協議は今週に持ち越されました。
カナダのトルドー首相は8月31日、トロント郊外で開かれたイベントで、「私たちが譲れない一線がどこにあるかは明白だ」と述べ、アメリカの一方的な要求に応じない考えを強調しました。
これに対し、トランプ大統領は9月1日、ツイッターに「新しいNAFTAにカナダをとどめる政治的必要性はない」と投稿しました。NAFTA再交渉の期限だった8月末までの合意に失敗したカナダ抜きで、メキシコとの2国間協定を進める姿勢を示したものです。
カナダ抜きのNAFTAは簡素ではない
しかし、カナダが離脱すれば経済への悪影響が大きいため、アメリカ議会には反対論が根強いです。アメリカ商業会議所もカナダとメキシコの3カ国による合意でなければ、「議会の承認は得られず、経済界の支援も失うだろう」と指摘しました。
実際、トランプ大統領は先月31日までにカナダと合意できなかったとして、議会に対しメキシコとの2国間協定を進める意向を通知しました。ただ、通知は「カナダが望むならカナダとの協定にも署名する」として、今後もカナダとの交渉を続け、合意に達すれば従来通り3カ国の枠組みを維持する方針を示しました。アメリカとカナダは5日に交渉を再開します。アメリカ政府は1カ月後に新協定の合意文書を議会に提出する予定になっているため、9月末が次の合意期限になるとみられます。