2月26日に投票が行われたイラン国会(議席数290)と専門家会議(同88)のダブル選挙は、ロウハニ大統領を支持する保守穏健派と改革派が躍進有権者の信任を得たことで、ロウハニ政権が経済を立て直し、成長拡大と雇用創出を推し進める環境が整いました。
イランの有権者(写真: AP)
イランの内務省が発表した選挙結果によりますと、反米を掲げる強硬派が議席を減らしたのに対し、欧米との核合意を進めたロウハニ大統領を支持する改革派や穏健派が大幅に議席を増やしました。
特に、首都テヘランの選挙区では30議席全てを改革派や穏健派の候補者が独占しました。法定の得票数に達しなかった議席も50以上あり、4月中にも決選投票が行われる見通しです。また、同時に行われた最高指導者を選ぶ権限がある専門家会議の選挙でも穏健派が議席を伸ばしました。
将来を決定付ける選挙
今回の選挙結果は、欧米との融和を進め国際社会への復帰を果たしたロウハニ政権への国民の支持が示された形となりました。就任から2年半たつロウハニ大統領は欧米との核協議を合意に導き、経済制裁の一部解除も実現させています。若年層の多くはロウハニ氏の下で生活が改善されたと主張していますが、経済制裁の解除は、ロウハニ政権が進めている経済改革に弾みがつくと期待しています。
また、ロウハニ大統領を支持する保守穏健派と改革派の勝利により、欧米との核合意が実現され、地域の平和と安定につながるとみられています。最高指導者ハメネイ師は最近も「アメリカは信用できない」と批判を続けており、劇的な対米関係改善は難しいですが、多くの国際関係専門家は「改革、穏健両派の議席拡大で、ロウハニ大統領は協調的な外交を進めやすくなる」という見方を示しています。
改革の加速は容易ではない
今回選挙は新風を与えると期待が高まっていますが、無意味との意見も出ています。核協議合意で広範な経済制裁は解除される予定ですが、国民の生活はあまり変わっていないとも述べた若者もいます。ロウハニ大統領は変化を望んでいますが、実現させることは出来ないとの悲観的な見方を示しました。
イラン政界では、近年、欧米との関係を改善して経済発展を主張する穏健派・改革派と、アメリカを敵視して厳格なイスラム統治を掲げる強硬派との争いが展開されています。今回の選挙で、穏健派・改革派は勝利しましたが、強硬派はまだしっかりとした基盤を維持しています。そのため、ロウハニ政権が主張する改革計画は段階的に展開されるとみられています。今回の選挙結果で、改革への追い風は確実ですが、どこまで吹くのか注目されています。