イランが核開発の制限措置を履行したことに対し、欧米が制裁解除を宣言しました。35年間敵対関係が続いていたイランと欧米は新しいページを切り開きました。
イランと米の外相会談(写真:Infonet)
信頼醸成
昨年の7月に、イランは欧米など6カ国と、核開発を大幅に制限すると合意しました。今月の16日、(IAEA)国際原子力機関は、イランがこの合意を履行していることを確認しました。これを受けて、同日、アメリカのオバマ大統領は、制裁を一部解除する大統領令に署名しました。大統領令によりますと、アメリカは、イランに科していた銀行業務や鉄鋼、海運に関する制裁を正式に解除しました。EU欧州連合も制裁解除に向けた手続きを開始しました。
こうした動きは、国際社会の評価を受けています。パン・ギムン国連事務総長は、これは外交の歴史的な成果であり、中東地域の安定を促すであろうとの見解を出しました。アメリカのケリー国務長官は、「信頼醸成のスタートだ」と述べ、これからも、イランとの信頼を強化したいとの考えを示しました。一方、イランのロウハニ大統領は、「制裁解除はイランにとって重要な勝利である」と述べました。
イランの繁栄を期待できるか
欧米諸国がイランに対する制裁を解除したことは、イランにダイナミックな発展チャンスをもたらすと見られています。イランは資源大国であり人口約7900万人で、経済成長が期待できるといわれています。制裁解除により、国際社会復帰に道が開けました。既にドイツやフランス、イギリスなどが経済協力の動きを強めています。
イランのロウハニ大統領は、17日の国会では「8%の経済成長確保には、国外から300億~500億ドルの投資が必要だ」と述べ、投資を呼び込む方針を固めました。ロウハニ大統領は来週にもイタリアやフランスを訪問し、欧州との関係強化で経済発展に弾みをつける狙いと見られます。
一方、欧州経済界にも、イランとの取引増加に期待を寄せています。イランのアホウンディ交通相は、欧州航空機大手エアバス・グループからの商用機114機の購入計画を明かしました。
政治と外交の面では、中東地域の大国であるイランは経済制裁の解除を利用して、自国の威信と発言力が高められます。こうした制裁解除は、イランにとって大きな節目になったといえるでしょう。