既にお伝えしましたように、イランの核開発問題の包括的な解決を目指しているイランと欧米側は、交渉期限が24日に迫るなか、オースト リアで協議を再開し、双方ともに最終合意の実現に強い意欲を示していますが、隔たりが依然、大きいともしていて、期限内に妥協点を見いだすことができるか どうか予断を許さない状況です。
核開発問題の包括的な解決を目指すイランと欧米など関係6か国は当初、ことし7月としていた交渉期限を今月24日まで延長し、協議を続けてきました。
予断許せず
その期限が6日後に迫るなか、オーストリアのウィーンで18日、協議が再開され、イランのザリーフ外相と6か国側の調整役を務めるEU=ヨーロッパ連合のアシュトン前上級代表が会談しました。
これを前にザリーフ外相が記者団に対し、「イランの国益と権利が尊重された合意を達成するため、最後の1日まで努力を続ける」と強調し、アメリカの政府高官 も「現時点で交渉期限の再延長は議論していない」と述べるなど、双方ともに期限内の最終合意の実現に強い意欲を示しました。
ただ、その一方で、主な争点となっているウランの濃縮活動の規模と経済制裁の解除の方法について、双方の間に依然として大きな隔たりがあるという認識も示しているため、期限内に妥協点を見いだし、最終合意を実現できるかどうかは予断を許さない状況です。
欧米側の姿勢
アメリカ・ホワイトハウスの国家安全保障担当のブリンケン大統領次席補佐官は19日、議会上院の外交委員会の公聴会で証言し、24日までの合意について「現時点では困難だろう」と述べ、厳しい認識を示しました。一方、アメリカ議会下院はこの日、イランが信仰の自由の侵害や、拷問、長期間の拘束などの人権侵害を続けていると非難する決議を採択しました。
核開発交渉の大詰めにこうした決議を採択したことについて、ロイス外交委員長は声明で、「オバマ政権は核開発問題の外交的な解決を目指しているが、議会はイランの残忍さに幻想を抱いてはいけない」と述べ、イランとの交渉で妥協すべきでないとけん制しました。
微妙な情勢
イランと6カ国側は昨年11月、イランが核開発を自発的に縮小する見返りに、6カ国側が制裁の一部を緩める「第1段階の措置」で合意しましたが、ウランの濃縮活動の規模などについて、両者の主張の溝はいまだに大きいとされ、24日の期限までに合意できるか微妙な情勢です。
かつてアメリカ国務省で核不拡散問題を担当していた専門家も、「期限内の包括的合意は困難」との見方を示しました。一方で、アメリカの中間選挙で、イランに対して強硬な共和党が勝利し、新たな経済制裁への動きが出ることに対するイランの警戒感がプラスに働く可能性も指摘しました。
こうした中、アメリカのケリー国務長官らは、イランとの仲介役であるオマーンの外相と改めて会談するなど、延長論も出る中で外交努力を続けています。