(VOVWORLD) - アメリカの有力紙によりますと、同国のトランプ大統領は欧米などとイランが一昨年結んだ核合意を「認めない」と判断して今週中に発表する予定だと伝えていますが、アメリカの離脱はイランとの関係に悪影響を与えると懸念されています。
イラン核合意はイランの核開発を大幅に制限する代わりにアメリカなど関係国が制裁を解除するとしたもので、外交的な解決により核の拡散を防いだと国際社会で受け止められました。しかし、トランプ大統領はこの核合意について先月の国連演説でも「アメリカにとって恥だ」と強く非難するなど、破棄も含めた対応を検討しています。
緊張のエスカレート
核合意が達成されてから、IAEA=国際原子力機関はその履行を監視していますが、その最新報告によりますと、イランは合意を遵守し、低濃縮ウラン保有量300キロなどの制限を守っているということです。
(写真:VNA) |
しかし、アメリカ政府にとって、これらの報告は価値のないものと見られています。アメリカの有力紙「ワシントン・ポスト」の電子版は5日、トランプ大統領がイラン核合意を「認めない」とする判断を議会に通知する方針を決め、来週発表する予定だと伝えました。
また、別の有力紙によりますと、トランプ大統領は12日、核合意とイランに対する包括的な戦略についての決定を発表することになっています。アメリカ政府はイラン核合意を認めるかについて定期的に議会に通知することになっていて、「認めない」との判断が通知されれば議会は制裁を再開するかどうかなどを審議することになります。
制裁が再開されればイランやヨーロッパなどが反発するのは確実で、核合意そのものの破棄につながるおそれもあります。これに対し、イラン側は「報復措置をとる」などして、強固な姿勢を示しています。イランのロウハニ大統領は、「アメリカは核合意を破ることによって自らの信頼を消し去ることになるだろう」と批判しました。
ロウハニ師は、「核合意によってイランは国際的な孤立状態から脱し、政治的立場の向上や外国企業の投資がもたらされた」と指摘し、「多くの恩恵をトランプ氏が除去することは不可能だ」と強調し、核合意を維持するために全力を尽くす姿勢を鮮明にしました。
予断できない状態
これらの言動は国際社会に深い懸念をもたらしています。フランス大統領は、「核合意から離脱すれば、アメリカは孤立状態に陥る」と警告しました。ドイツ外相も、「アメリカがそのような道を歩めば、世界は変化する。これはすべての国にとって危険なものになる」と語り、アメリカを批判しました。
ロシア側も「アメリカのイラン核合意からの離脱は消極的な結果をもたらす」との警鐘を鳴らしています。特に、アナリストらは、「アメリカが離脱を決定すれば、新しい軍拡競争が発生する」と指摘しています。
これらの動きから見れば、アメリカとイランとの関係の緊張が迅速にエスカレートしており、双方が自制しない限り、コントロールできない状態になるといえます。核合意が無効になると、イランは関係各国の新しい制裁措置により、深刻な被害をもたらすはずです。そして、同国は核開発プログラムを再開する可能性もあります。従って、中東危機は拡大・延長する恐れもあります。