イラン核合意をめぐる問題

(VOVWORLD) - この数日、「イランは秘密の場所で「核アーカイブ」を保持し続けている」というイスラエルの告発は世論に深い懸念を与えています。アメリカのトランプ大統領が要求しているイラン核合意の見直しの期限が近づいている中、この情報は「火に油を注ぐ」ものとなっています。

イスラエルのネタニヤフ首相は4月30日、テルアビブの国防省で演説を行い、核兵器を追求しないというイラン当局者の言葉は「真っ赤なうそだった」と主張し、「イランは秘密の場所で「核アーカイブ」を保持し続けている」と語りました。一方、イラン側はこうした指摘を否定しています。

イラン核合意をめぐる問題 - ảnh 1                  イランのある核施設(写真:AP/VNA)

センシティブなタイミング

5月12日はトランプ大統領がイラン核合意に関するアメリカの最後の決定を下す期限ですが、イスラエルはその期限が近づいている時点を選んで、イランを告発しています。

ネタニヤフ首相はイランについて、「2015年に国際社会と合意を交わしたにもかかわらず、核兵器開発の追求継続を計画している」と述べ、イスラエル情報機関の歴史的成果として、その裏付けと主張するファイルを提示しました。

イランは2015年、このファイルの存在を覆い隠すことに労力を注ぎ、昨年、テヘランの秘密の場所へ移したと主張しています。ファイルは「一見、何の変哲もない施設」の中の巨大な保管庫に収められていた」と語りました。問題のファイルは10万本あり、核兵器に関する青写真や、図表、写真、ビデオ、プレゼン資料などが記録されているとしています。

これに対し、イランのアラグチ外務次官は「子どもじみたお遊び。何年か前にも聞いたことがあり、テロ組織のMKOもそう主張していた」と反論しています。イスラエルがイランの施設から5万5000本の文書を入手したという主張についても、「馬鹿げている」と一蹴しています。

実際、イラン核合意の崩壊から利益を得るのはイスラエルだといえます。この合意の交渉期間中、イスラエルは反対し、これを「歴史的な誤り」と呼んでいました。また、利益を得るのは、この合意の無効化を大統領選挙戦のスローガンとして掲げていたアメリカのトランプ大統領です。

同大統領は、この合意を「これまで締結された合意の中でも最悪のディールだ」と批判し、その破棄を主張してきました。また、ポンペオ国務長官も声明を発表し、「アメリカが評価したところでは資料は本物だ」との見方を示しました。

欧州諸国の姿勢

逆に、多くの欧州諸国はイラン核合意を保護するために取り組んでいます。EU=欧州連合のモゲリーニ外交安全保障上級代表は、4月30日の声明で、「2015年以降のイランの合意順守に疑問を生むものではない」と強調しました。また、イラン核合意の履行を監視する唯一の機関であるIAEA=国際原子力機関も「イランは合意を十分に遵守している」と確認しています。

さらに、フランス外務省は、「核合意の正当性が示された」との立場を声明で示しました。ドイツ政府報道官は、「国際社会が核兵器開発を疑っていたからこそ、核合意が署名された」と強調しています。イギリス政府報道官も合意維持の重要性を改めて主張しました。

こうした中、イラン側は「2015年の合意の再交渉をしない」とし、強固な姿勢を示しています。したがって、この歴史的な合意が破棄される危険性が浮上しています。

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