26日に、ベラルーシの首都ミンスクで、ウクライナや、ロシア、EU=欧州連合による首脳会談が開かれ、戦闘が続くウクライナ東部の緊張緩和について協議します。しかし、会談に先立つ動きは、ウクライナに影響を及ぼす国々の間の立場の隔たりがまだ埋められていないことを示しています。
4月17日にジュネーブで開催されたウクライナに関する4者協議(写真:Infonet)
ロシア、ウクライナ、EUによる首脳会談はロシアとウクライナとの関係が緊張になっている背景に開かれます。ウクライナ国家安全保障会議のルイセンコ報道官は25日、「ロシアがドネツク州で新たな軍事衝突を引き起こそうとしている」と非難しました。その一方で、ロシアのラブロフ外相は、近くウクライナ東部に第2弾の人道支援部隊を送る意向を表明しました。
立場の隔たり
ドイツのメルケル首相は24日のARDテレビとのインタビューで、「ミンスクの首脳会談が事態の「大きな打開」につながることはないだろう」としながら、「解決策を見いだしたければ話し合う必要がある」と発言しました。 同首相はさらに、ウクライナとロシアの天然ガスをめぐる問題解決の取り組みに冬の到来という時間切れが迫っていると警告しました。「まだ緊急事態には至っていないが、時間的制約により交渉を近く終える必要がある」と語りました。
一方、フランスのファビウス外相は「ウクライナがロシアとEUとの良き関係を持つ必要がある。この目標を達成するのは簡単なことではないが、フランスはロシアとウクライナとの緊張情勢の緩和に寄与する」と発表しました。
欧州連合のアシュトン外交安全保障上級代表は今回の首脳会談は「ウクライナの緊張情勢を解決できる良いチャンスである。ウクライナはEU諸国、及びロシアとの良好な関係を構築する必要がある」との見解を示しました。
他方、アメリカ国務省のマリー・ハーフ次席報道官は「ロシアがウクライナ軍に対して自国領土からもウクライナ国内からも迫撃砲を使用しているというNATO=北大西洋条約機構からの情報を受けた後、アメリカは、ロシアに圧力をさらにつける」と強調しました。
対立を増す行動
ロシアのラブロフ外相は25日、記者会見し、戦闘が続くウクライナ東部向けの人道支援物資の第2便を、今週中にも第1便と同じルートで送る方針を明らかにしました。こうした意向を24日にウクライナ外務省に伝えたといい、同国政府とICRC=赤十字国際委員会に協力を求めました。
同外相は、首脳会談について、西側諸国はウクライナ問題解決の責任をロシアに押し付けるべきではないとし、「西側諸国は魔法のように物事が解決すると期待すべきではない」との認識を示しました。
会談に先立って、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「プーチン大統領とポロシェンコ大統領が個別に会談する可能性はあり、緊張緩和に向け、率直な対話を期待している」と述べ、2国間の首脳会談が行われる可能性があるとの見方を示しました。
ただ、停戦を巡っては、ウクライナが親ロシア派の武装解除や占拠した行政府庁舎の明け渡しなどを条件としているのに対し、ロシアは無条件での停戦を求めるなど、双方の主張の隔たりは大きく、両首脳が妥協点を見いだすことができるのかが焦点となっています。