11日、ベラルーシの首都ミンスクで、ウクライナ東部の情勢を巡るドイツ、フランス、ロシア、ウクライナの4カ国首脳会談が行なわれる予定です。アナリストらによりますと、この首脳会談はウクライナ問題の最後のチャンスと見られています。
積極的な兆し
アメリカのオバマ大統領は9日、ホワイトハウスで、ドイツのメルケル首相と会談した後、共同記者会見し、「ウクライナ東部で支配地域を広げる親ロシア派武装勢力に対する政府軍の防衛力強化を支援するため、殺傷能力のある武器の供与を検討中だ」と明らかにしました。
ウクライナ軍部隊(写真:ロイター)
11日にベラ ルーシの首都ミンスクで予定されている首脳会談など外交努力の結果を待って決断する意向を示し、武装勢力を支援するロシアをけん制しました。
一方、EU=欧州連合は9日に開いた外相会議で、ウクライナ東部で戦闘を拡大している親露派武装勢力などの19人と9団体を渡航禁止や資産凍結などの制裁対象に加えることを決めました。しかし、11日に4カ国首脳会談が予定されていることから、発動は16日まで先送りします。
困難も少ない
4カ国首脳会談の緊張情勢を緩和させる幾つかの兆しが出たものの、当事者が乗り越えるべき困難が残っています。ドイツのシュタインマイヤー外相はこの会談について、「最後かもしれない紛争解決のチャンスをとらえないのは無責任なことだと確信している」と語りました。
オバマ氏はメルケル首相との会談後の共同記者会見で、米欧によるロシアへの経済制裁が 「ロシアのプーチン大統領を制止できていない」と述べ、ウクライナへの武器供与を含む「すべての選択肢」を検討していることを明らかにしました。
一方で、「私はまだ決定を下していない」と語り、欧州との「強力で一致した対応」の継続も強調しました。これに対し、メルケル氏は「この紛争で軍事解決はあり得ない」と述べ、11日に予定されている4か国首脳会談で外交解決を目指す姿勢を示しました。
また、 ウクライナへの武器供与に反対する自身の立場を明確にしつつ、「特定の問題について合意がなくても、アメリカと欧州の同盟関係は強固であり続ける」と明言し ました。
ウクライナと親露派は昨年9月に停戦合意しましたが、履行されないまま先月から親露派が攻勢をかけ、実効支配地域を広げています。4カ国首脳は停戦の新たな枠組を定める共同文書採択を目指しますが、なし崩し的に広げた実効支配地域を容認させ、事実上の独立を勝ち取ろうとする親露派と、昨年の停戦合意を堅持するウクライナや、ドイツ、フランス側が対立しています。