ウクライナ東部で続く紛争の停戦に向け、ウクライナ、ロシア、ドイツ、フランスの四カ国首脳は11日夜、ベラルーシの首都ミンスクで会談を始めました。昨年9月の停戦合意の履行を保証する新たな枠組みをめぐり、詰めの調整を続けていますが、協議は難航しています。
(写真:RIA)
会談にはウクライナのポロシェンコ大統領とロシアのプーチン大統領、仲介役のフランスのオランド大統領とドイツのメルケル首相が参加しており、10時間がたった12日早朝も続いています。
立場の隔たり
実際、ウクライナ問題に関する関係各側の立場の隔たりが増しています。アメリカのオバマ大統領は9日、ホワイトハウスで、ドイツのメルケル首相と会談した後の共同記者会見で、「ウクライナ東部で支配地域を広げる親ロシア派武装勢力に対する政府軍の防衛力強化を支援するため、殺傷能力のある武器の供与を検討中だ」と明らかにしました。
これに対し、メルケル氏は「この紛争で軍事解決はあり得ない」と述べ、今回の4か国首脳会談で外交解決を目指す姿勢を示しました。また、 ウクライナへの武器供与に反対する自身の立場を明確にしつつ、「特定の問題について合意がなくても、アメリカと欧州の同盟関係は強固であり続ける」と明言しました。フランスもドイツの立場を支持しています。
合意達成か
ロシアの通信社によりますと、4か国の首脳は、会談の途中、各国の外相らを交えるなどして協議を続けているということで、ロシアのラブロフ外相は、協議の合間にロシアのメディアに対して「よい話し合いが続いている」と述べて、肯定的な評価を示しました。
一方で、ウクライナ大統領府のチャルイ副長官は、フェイスブックに「交渉は神経戦に入っている」と書き込んでいることから、難航しているとの見方も出ていま す。首脳会談を前に一時中断していたウクライナ政府と親ロシア派による協議も首脳会談に並行する形で再開されたということで、停戦の実現に向けてぎりぎりの交渉が行われているものとみられます。
こうした中、ウクライナ東部で戦闘が続いており、死傷者がたくさん出ています。統計によりますと、これまで、5300人が死亡し、冷戦後の最悪の紛争となっているということです。国際世論は、ウクライナ和平の“最後のチャンス”と見られている今回の4カ国首脳会談に期待を掛けていますが、長期的な解決策が出されない恐れがあるとも予測しています。