イスラレルによるガザ砲撃(写真:ロイター)
去る12日、エジプトの首都カイロでパレスチナ自治区ガザの復興を話し合う国際会議が開かれました。会議では、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスに影響力のあるカタールが10億ドルの支援を表明したほか、EU=欧州連合が4億5千万ユーロ、アメリカが2億1200万ドルの支援を明らかにしました。
50日間にわたったイスラエルとハマスの戦闘で、ガザ地区では、多くの市民を含む2100人が死亡し、およそ1万8000棟の住宅が破壊され、今もおよそ5万4000人が避難所となっている学校での生活を余儀なくされています。
復興活動の再開
国連のパン・ギムン事務総長は会議の後の14日、停戦後初めてガザ地区を訪問し、厳重な警備態勢が敷かれるなか、甚大な被害を受けた市街地や自宅を失った住民が身を寄せる避難所などを視察しました。
視察のあと記者会見したパン事務総長は「重苦しい思いだ。実際に見た破壊の規模は筆舌に尽くしがたい」と述べました。
そのうえで、国連とイスラエル、それにパレスチナ暫定自治政府の合意の下、この日、建物の再建に必要なセメントなどの資材が、戦闘以降、初めてガザ地区に搬 入されることを明らかにし、国連が再建を支援する姿勢を強調しました。
これに先立つ、ノルウェーのブレンデ外相は「支援額の半分約27億ドルが、イスラエルとの戦闘で荒廃したガザの再建に、残り半分はパレスチナ自治政府の予算支援やヨルダン川西岸の開発に充てられると説明しました。
復興計画の実行と現実の隔たり
イスラエル側は再建に必要な建設資材が軍事目的に転用されるのではないかという警戒から、資材のガザ地区への搬入を認めておらず、再建が順調に進むかどうかは依然として不透明な情勢です。
国連のパン・ギムン事務総長は、パレスチナ暫定自治政府のハムダラ首相やイスラエルのネタニヤフ 首相と相次いで会談し、ガザ地区の再建のための計画の実行に向けて、一層の努力を促すとともに、「紛争の根源にある問題に取り組むべきだ」として、中東和平交渉を再開するよう求めました。
ガザ地区の復興への支援実施にあたっては、米欧など国際社会はハマスのガザ統治を認めておらず、復興資金や資材がハマスの軍事拠点再建に利用されることへの警戒感もあることから、ハマスに復興資金が渡らないことが重要だとの立場をとっています。
ガザではイスラエルによる砲撃などで約1万8千戸の住宅が破壊され、パレスチナ側の試算では復興に3年間で40億ドルが必要だと見積もられています。
世界各国の支援はガザ地区の住民が現在の困難の一部を乗り越えることを助けますが、ガザでの長期停戦が合意されない限り、安定的で平穏な生活を与えない事でしょう。ガザでの長期的平和を探るイスラレルとパレスチナによる交渉が今月末にカイロで開催される予定です。しかし、双方には対立が存在しているため、今回の交渉で新たな前進を達成する事は容易ではないと予測されています。