カタール外交危機と米国の姿勢

(VOVWORLD) - アメリカのトランプ大統領は、中東のカタールとサウジアラビアなどが国交を断絶していることをめぐり、「仲介できるなら喜んでやりたい」と述べ、事態の打開に向けてみずから役割を果たしたいという意欲を示しました。2017年にカタール外交危機が発生してからおよそ3ヵ月後に出されたトランプ氏のこの発言は世論の注目を集めています。

トランプ大統領は7日、国交を断絶しているカタールとサウジアラビアなどとの仲介にあたっているクウェートのサバハ首長と会談しましたが、その後の記者会見で、「私も仲介ができるなら喜んでやりたい」と述べるとともに、前日にサウジアラビアのサルマン国王とも電話会談したことを明らかにしました。

カタール外交危機と米国の姿勢 - ảnh 1             (写真:ロイター)

そのうえで、「近いうちに進展があるかもしれない」と述べ、事態の打開に向けて、みずから役割を果たしたいという意欲を示しました。

 

地域内での影響力の再確認

危機の始まりは6月5日に、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、バーレーンがカタールとの国交断絶を発表したことです。その後、さらに6カ国が断交を発表し、ヨルダンなどは外交関係の格下げを決定しました。通商関係も停止され、経済封鎖の様相を呈しています。

それ以来、トルコや、ロシア、クウェートなどは事態打開へ向けて仲介役を果たしてきましたが、具体的な結果が出ていません。こうした中、出されたトランプ大統領の発言は偶然ではなく、目的のあるものと評されています。

中東地域は、大産油国が多いことから、アメリカの国益を考える上で重要な地域でありながら、テロリズムが全世界を脅かしている中で、アメリカのテロ対策にとっても戦略的な地位があるといえます。

トランプ大統領が5月サウジアラビアを訪問したとき、スンニ派諸国の会議で演説し、スンニ派とシーア派の対立で、アメリカはスンニ派を支持する態度を明確にしたことや、アメリカがカタールや、サウジアラビア、バーレーンで複数の軍事拠点を置いていることはそれを立証しています。

カタール外交危機と米国の姿勢 - ảnh 2          クウェート国王(写真:ロイター)

しかし、ロシアの外相によるクウェートや、アラブ首長国連邦、カタールへの歴訪の前まで、アメリカはこの危機に対して、曖昧な態度を示してきました。ロシアのプレゼンスはアメリカを刺激するものになったと評されています。また、カタールが近隣諸国の圧力を減らすために様々な措置を積極的にとっていることもアメリカの介入に繋がっています。

カタールは、ハマド港を近隣諸国の包囲網から脱出するための手段として利用する方針を出しながら、トルコや、イランとともに、貿易関係強化のためにイランの陸路システムの使用について協議中です。これらの措置により、カタールに対する包囲網の効果が低下する見通しだと評されています。

こうした中、トランプ大統領は事態の打開に向けて自ら役割を果たしたいという意欲を示しています。

トランプ大統領としては、オバマ前大統領のもとで中東でのアメリカの影響力が低下したとも指摘される中で、中東での存在感を高め、みずからの成果としてアピールしたい狙いがあると見られますが、「事態打開に役立つ」との世論の好評を得ています。そして、アメリカの介入が成果を収めるかどうかが焦点となっています。

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