ズン首相とバローゾ欧州委員会委員長
グエン・タン・ズン首相は13日から15日にかけて、ベルギー、EU=欧州連合、ドイツ歴訪を行っています。この訪問はベトナムとEU諸国との経済を中心とする全面的かつ実質的な協力関係の強化を狙うものであると同時に国際社会に全面的に参入し、国際問題の解決に主導的に貢献するというベトナムの立場を示しています。
また、この訪問は2014年におけるベトナムの重要な外交活動の1つとなっています。
ベトナムとベルギーの効果的な経済協力
最初の訪問先はベルギーです。これまで、ベトナムとベルギーとの協力関係はあらゆる分野で良好な発展を見せ、両国の貿易・投資関係は絶え間なく発展しています。ベルギーは小市場でありながらも、ベトナムとベルギーとの商取引額は他の欧州国のより高いです。2013年、両国の商取引額は18億ドルに達し、2012年と比べ17%増となりました。また、今年上半期、この数字はおよそ12億ドルに達しています。一方、対ベトナムベルギーの直接投資額は1億5500万ドルを超えています。ベトナムはベルギーのODA供与を受けるアジアで唯一の国です。現在、両国は港湾のインフラ整備、ロジスティックス、交通運輸、グリーンテクノロジー、医療、教育分野で協力を進めています。
ベルギーのエリオ・ディルポ首相の招きに応え行われているグエン・タン・ズン首相によるベルギー訪問は港湾、クリーン成長、ハイテク、開発援助を中心に両国の各分野での協力関係の強化に寄与するとされています。
ベトナムとドイツとの戦略的行動計画の展開
ベトナムと戦略的パートナー関係を結んでいるEUの 6カ国の1つであるドイツは欧州でベトナムの重要な経済パートナーであり続けています。今年上半期における両国の商取引額はおよそ36億ドルに達しました。また、8月現在、有効期限内のドイツの直接投資プロジェクトは232件で、額にして12億5千万ドルにのぼり、設備製造、エネルギー、医薬に集中しています。ドイツは2014年~2015年期にベトナムの環境保全、エネルギー、及び職業訓練の3つの分野に1億ドルのODA供与を行うと公約しました。ベトナムの元外務次官で、ベトナム・ドイツ友好協会副会長のチュ・トゥアン・カップ氏は次のように語りました。
(テープ)
「これまで、両国関係は絶え間なく発展してきました。ドイツの全ての大手企業はベトナムに進出しています。中小企業もベトナムで事業を開始しました。一方で、ベトナムの企業もドイツに進出し始めています。ドイツはEUの大市場としてベトナムの市場経済を認めるようEU加盟諸国に働きかけています。そして、ドイツの支持は非常に大きいです。」
2015年、両国は外交関係樹立40周年を迎えます。ズン首相によるドイツ訪問により、ベトナムとドイツの行動計画が展開された上で、労働、職業訓練、教育などの分野における両国の協力は促進されると期待されています。
ベトナムとEUの関係の深化
現在、ベトナムとEUとの関係は全面的かつ実質的に発展しています。双方はPCA=全面的なパートナーシップ協力協定を締結しましたが、自由貿易協定交渉の終結を急いでいます。双方の商取引額は年平均15%ないし20%に達しますが、今年上半期の商取引額は175億ドルにのぼり、昨年同期と比べ、およそ13%増となっています。
ベトナムはEU加盟28カ国の中の6カ国と戦略的パートナー関係を構築したことからEUは貿易・投資、ODA供与でベトナムの第一のパートナーの座を占めています。最新の統計によりますと、加盟28カ国の中で23カ国はベトナムに投資を行い、投資総額はおよそ184億ドルにのぼっています。また、EUは対ベトナムODA供与で2位に立つと同時に、最大の無償援助供給者となっています。在ベルギーベトナム大使館のフアム・サイン・チャウ大使は次のように語りました。
(テープ)
「ベトナムはEUとの多面的な関係を積極的に促進しています。一方、技術移転も進められており、対ベトナムODA供与が維持されています。それぞれの加盟国のODA供与は減少したものの、EUとしては増加し続けています。これは特別なことです。」
こうした背景の中でズン首相のEU歴訪は今後の協力方針、中でも自由貿易協定交渉の早期終結や国連、ASEM=アジア欧州会議、ASEAN-EUフォーラムなどでの行動協調について協議する機会となります。また、今後、ベトナムとベルギー、ドイツ、EUとの多面的な協力関係は新たな展望を迎えることでしょう。