(VOVWORLD) - ドイツのメルケル首相率いるCDU・CSU=キリスト教民主・社会同盟と他党との連立協議が決裂しました。その結果、今後、再選挙が行われる可能性も出てきました。これにより、安定した政府の誕生までの道のりは遠のいています。
ドイツ自由民主党は19日、移民や環境問題への対応をめぐる意見の相違を理由に連立協議からの撤退を表明しました。これにより、メルケル首相は過半数を占める政権樹立が困難となります。
立場の隔たり
メルケル首相率いるCDU・CSU=キリスト教民主・社会同盟は9月の総選挙で、第一党を維持したものの、過半数の議席を確保できませんでした。
したがって、メルケル首相は、自由主義経済を掲げる自由民主党と環境を重視する緑の党の2つの少数政党との間で、4期目の政権発足に向けた連立協議を続けてきましたが、19日、交渉は決裂しました。
その原因は、難民政策や、環境政策などに関するキリスト教民主・社会同盟と自由民主党、及び、緑の党との立場の隔たりとされています。
20日、報道陣の前に姿を現したメルケル氏は疲れ切った表情で、「合意可能な道を歩んでいると信じていた。残念だ」と述べる一方、「首相として困難な時期でも国を運営するため、あらゆる手を尽くす」と語りました。また、同日、地元の公共放送ARDのインタビューで、「少数与党には懐疑的だ。再選挙をするほうがよい」と述べました。
再選挙の可能性
アナリストらの分析によりますと、3党による連立協議が決裂したことで、今後、メルケル首相が取り得る手だてとして、2大政党の1つで中道左派の社会民主党と引き続き連立を組むか、議会で過半数の勢力を確保するのを断念して少数与党による政権運営を目指すか、あるいは議会を解散し再選挙を実施するかという3つの可能性が取り沙汰されています。
これについて、20日に発表された世論調査の結果によりますと、危機的な政治状況を脱するために最も望ましい選択肢として、再選挙を挙げる人が最も多いことが分かりました。
こうした中、メルケル首相から報告を受けたシュタインマイヤー大統領は記者会見で、「われわれは前例のない事態に直面している」と述べ、近く各政党の代表者と会談し、連立政権の樹立を目指して調整に乗り出す考えを示しました。
連立政権の樹立を目指したシュタインマイヤー大統領による各政党との調整が成功するか予断を許さない状況の中で、メルケル首相が再選挙の可能性に言及したことで、ドイツ政治の先行きは不透明感を増しています。