アナリストらは、「ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任してから、アメリカと中国との関係は、経済・貿易・投資をはじめ多くの分野で変化を見せる」と予測しています。最近の動きはその予測の正しさを証明しています。
米国務省に置かれる両国の国旗
米中関係は、この両国と世界にとって最も重要なものでありながら、それぞれの国の国益に従って矛盾と不一致点多数を抱えているとされています。アメリカ共和党が民主党と異なっている政策を実施していることから、今後、両国関係は新しい局面を迎えると見られています。
米中貿易関係
新型の大国関係や、アメリカが領海紛争で中国をけん制する問題、台湾問題など伝統的問題と共に、最近、両国の間には貿易不均衡という問題が浮上しています。アメリカが2~3%の輸入税を課しているのに対し、中国は3%ないし9%の税率を適用しています。
アメリカ側は、中国はWTO=世界貿易機関の加盟国ですが、WTOの規定を遵守せず、アメリカに不利をもたらしているとしています。このため、トランプ氏は就任してからこの問題に対する強固な姿勢を示してきました。トランプ氏は、「中国の通過人民元が20%ないし45%押し下げられている」とした上で、「中国が押し下げ行為を止めなければ、中国製品への関税を引き上げるべきだ。人民元安の影響を相殺するため、45%の関税をかけるよう」主張しました。
トランプ氏の強固な姿勢は根拠がないものではありません。最近の中国の動き、中でも、外国企業の購入・合併と今後10年の製造業発展計画「メイド・イン・チャイナ2025」は多くの国に懸念をもたらしています。
明るくない将来
これまで、米中関係には、「闘争がある協力、協力のための闘争」というモデルがあります。アナリストらは、「今後もそのモデルが維持されていくが、経済的利益を重視するトランプ政権下に、双方の譲歩がなければ、その貿易摩擦は増す」と予測しています。
また、中国に対する強固な措置をとることは容易ではありません。トランプ氏は、「人民元安の影響を相殺するため、45%の関税をかけるよう」と主張しましたが、これは中国の報復措置に繋がると評されています。
これにより、アメリカの大手航空会社ボーイングの中国での受注件数や、IT大手のアップルの中国国内での販売台数にマイナス影響が出ると警告されています。
特に、電子製品や、繊維製品などアメリカが中国から輸入しているもののほとんどはアメリカが生産中止、または、アメリカ企業が中国で生産するものであることから、その摩擦はアメリカの消費者に被害をもたらします。
これまで、中国は外部からの圧力に対し、強固な姿勢を示してきました。そして、トランプ氏は前任の指導者らよりも強固な姿勢を示したいのです。こうした中、今後、米中の経済貿易関係は浮き沈みが激しく、世界経済に大きな影響を与えると懸念されています。