19日、2021年4月の国連安全保障理事会議長国を務めているベトナムのグエン・スアン・フック国家主席の主宰の下、衝突防止のための信頼醸成と対話促進を目指す国連と地域の諸組織との協力強化に関する国連安全保障理事会の一般討論会が開催されました。討論会で演説を行ったフック主席は、国際関係における信頼醸成の重要性を強調するとともに、「ベトナムは世界の恒久平和のために取り組む積極的なパートナーである」と明らかにしました。

演説を行っているグエン・スアン・フック国家主席

信頼醸成・紛争防止を目指す多くの提案

演説の冒頭、フック国家主席は、国連の誕生と発展は多国間主義と国際協力に対する各国の強い信頼の現れであると述べ、こうした信頼を基盤に、多くの地域組織が誕生し、その中で、ASEAN東南アジア諸国連合はつながりが強く、公開性と明確性が確保された代表的な地域組織となっていると明らかにしました。

しかし、フック主席は、平和・協力・発展は世界の主要な動きでありながらも、多くの安全保障問題が残されていると明らかにし、次のように語りました。

（テープ）

「この5年間、世界各地の紛争は約50万人の命を奪いました。また、2020年だけで、紛争のせいで、2000万人が難民生活を送らざるを得なく、500万人が家を失い、また、1億7000万人が人道支援を受けなければなりませんでした。これらの人たちは「取り残されている人」で、国連安全保障理事会の責任を求めています。新型コロナによるパンデミック、自然災害、気候変動、そして、紛争、国境・領土問題、各国間の戦略的競争などは国際協力のさらなる強化を求めています。しかし、私たちの相互信頼と、多国間体制への信頼が揺らいで現状があります。そのため、国連並びに安保理と地域的組織との協力を強化し、紛争防止と紛争の平和的な解決を目指す必要があります。」

このように語ったフック主席は、信頼醸成と紛争防止を目指す幾つかの提案を出しました。その中で、国連と地域的組織は緊密に連携し、信頼醸成と紛争防止に関する経験交換をする必要があるとしています。フック主席は次のように語りました。

（テープ）

「私たちは引き続き、多国間主義の役割、及び、国連憲章と国際法の遵守をより大切にしなければなりません。これは、信頼醸成と対話促進を目指す最も強い基盤ですから。また、紛争を未然に防ぐために、貧困・不平等・暴力など紛争の根本的な原因を徹底的に解決する包摂的かつ全面的な措置をとる必要があります。また、国際社会は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を始め、国連が提唱しているグローバル構想の展開に尽力し、リソースが限られている発展途上国へのより大きな支援を行う必要があります。」

地域的組織の役割について、フック主席は、地域組織は国連が提唱しているグローバル構想に基づいて、自らの発展計画やプログラムを作成し、加盟各国の政治的・経済的格差の是正に取り組む必要があると述べました。また、東南アジア地域では、ASEANは、2025年までのビジョンの実現に取り組んでおり、新型コロナ抑制と経済回復に成功しているベトナムはASEANの積極的な一員としてASEANのビジョンの実現に大きく貢献していると強調しました。

全方位外交政策の堅持

演説の結論で、グエン・スアン・フック国家主席は、ベトナムは今期で2度目で安保理の議長国を務めることを誇りにしていると述べ、繁栄した平和な国づくり及び国際社会の信頼にたるメンバーを目指しているベトナムは引き続き、全方位外交政策を堅持し、国連並びに安保理の活動に積極的に参加する方針であると強調しました。

また、フック主席は、ベトナムは「恒久平和のためのパートナー」という方針で、ASEANをはじめとする地域的組織と国連との協力を一段と拡大させる決意を固めたとしています。