ベトナム、国内で新型コロナワクチンを生産するように努力
(VOVWORLD) - ベトナムは、ワクチン「ナノコバックス(Nanocovax)」の第3期臨床実験を行う一方、これまで、日本や、ロシア、アメリカ企業とともに3件の新型コロナワクチンに関わる技術移転契約を締結してきました。
先ごろ、ファム・ミン・チン首相は、新型コロナウイルワクチンの研究・開発・生産とその技術移転に携わる科学者や、企業・機関の代表との会合で、「当面の優先課題は、国内産のワクチンを開発することである」として、「来る9月に国内でそのワクチンを生産するように取り組む必要がある」と強調しました。
疫病の状況が複雑に推移している背景の中で、ワクチン接種戦略を迅速に展開するために、ベトナムは、海外からのワクチン購入や、国内での生産のための技術移転、国内での研究・開発という3つの活動を同時に行っていますが、そのなかで、技術移転と国内での研究・開発が長期的な目標とみられています。保健省によりますと、現在、ワクチンに関わる技術移転や、国内での研究・開発作業が促進され、積極的な成果を収めています。
ベトナムは、ワクチン「ナノコバックス(Nanocovax)」の第3期臨床実験を行う一方、これまで、日本や、ロシア、アメリカ企業とともに3件の新型コロナワクチンに関わる技術移転契約を締結してきました。
具体的には、日本の塩野義(しおのぎ)製薬とベトナムの第1ワクチン生物学的製剤社(バビオテック、Vabiotech)およびAICとの間で、新型コロナウイルスワクチンの製造技術移転で合意しました。現在、保健省は必要な手続きと臨床実験を行い、2022年6月にそのワクチンを発売させることを目指しています。
また、バビオテック社とロシア製の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV(Sputnik V)」の供給を管轄するロシア政府系金融機関であるRDIF=ロシア直接投資基金は、バビオテック工場で製造した「スプートニクV」ブランドの新型コロナウイルスワクチンを初めてラインオフしました。
さらに、8月15日、ハノイ医学大学はワクチン「ARCT-154」の第1期臨床実験を開始し、100人の志願被験者が参加しました。このワクチンはアメリカのバイオ製薬会社アークトゥルス・セラピューティクス社からの技術移転によるものです。
ナノコバックスの研究開発に参加している軍医学院のド・クエット院長は、「このワクチンは有効性・安全性が高い」とし、次のように語りました。
(テープ)
「ナノコバックスの3期の臨床実験はいずれも、積極的な結果を見せました。一番重要な要素は安全性ですが、このワクチンは安全であることが確認されています。近いうちに、保健省と生物医学研究国家倫理評議会に報告し、許可書を発給するよう提案する予定です。」
政府は、国内でのワクチン生産のための技術移転と国内でのワクチン研究・開発を目指す保健省を含め関連各機関・企業の努力を高く評価しています。これに関し、チン首相は次のように語りました。
(テープ)
「これは、ベトナム人の知恵と科学者をはじめとする全国民の力による結果です。また、ベトナム民族の誇りでもあります。」
こうした中、医療部門は、「来る9月に国内で新型コロナワクチンを生産するようになる」という目標達成を目指し、その技術移転と国内での研究・開発を強化していく方針です。国内で新型コロナウイルスのワクチンを成功裏に研究・開発・生産することは、世界の医学界におけるベトナムの地位向上に貢献すると評されています。