漁船の書類を検査中の国境警備部隊

実に約7年の歳月が過ぎ、ベトナムはEC欧州議会からIUU対策が不十分だとしてイエローカードを受けた状態が続いています。

強力な政治的意志と公約

第32号指令は、IUU対策と持続可能な水産業発展に向けたベトナムの強力な政治的意志と公約を示すものです。指令は、特に2023年10月の第4回EC査察での勧告を全面的に実施する中で発せられました。ベトナムは今年中のイエローカード解除を目指しつつ、将来の持続可能な水産業発展を推進することを狙いとしています。

党中央書記局は、IUU対策を水産業の持続的発展にとって重要かつ緊急の課題であり、長期的な意義を持つと位置付け、政治システムと社会全体、とりわけ各級の党委員会と党組織の責務であるとしました。各部門や地方の最高責任者は、イエローカード解除の目標達成に向けて統一された決意と措置を確保する直接の指導責任があります。

そのため、広く党委員会、政府機関、党員、企業、漁民に対し、水産業の持続可能性とIUU防止の重要性を啓発する活動を一層強化する必要があります。特に出漁前から違法な外国水域での操業など、漁民の違反行為を徹底して防止することが重視されます。

党中央書記局の指令はさらに、水産資源の養殖・漁獲・保護・開発、輸出向け加工・保存、漁業の近代化、漁民の生活向上、職業訓練、遠洋操業と離島での定住促進に向けた政策を重視するよう求めています。 

指令発出後の4月22日、党中央書記局は実施状況の確認と更なる指示を行う中央地方オンライン会議を開催しました。

同日、政府は第52号決議により行動計画を承認しました。農業農村開発省をはじめ、外務省、国防省、公安省など関係省庁も、欧州議会の過去の勧告を踏まえベトナムの改善状況を示す取り組みに積極的に参加しています。

透明性と責任を持った持続可能な水産業の実現へ

水産業はベトナムの主要輸出産業の一つで、年間総生産量は900万トン超、農業分野のGDPの約3割を占めています。ベトナムの水産物は170か国・地域に輸出されています。 

ベトナム政府は、イエローカード解除がベトナム水産物のEU市場におけるより良い地位の条件であり、これを乗り越える必要があると繰り返し強調してきました。さらに、イエローカード解除に向けた取り組みは、透明性と責任を持った持続可能な漁業への転換に向けたスタートに過ぎないとの立場です。

そこで第32号指令の精神に基づき、政府と関係省庁、地方は、IUU対策への責任ある姿勢を周知徹底するための研修と啓発活動を一層推進します。合わせて、無登録・無検査・無許可の「3無」漁船に対する断固たる措置を定めた法整備を進めます。物的・技術的インフラ投資、先進技術の導入、イノベーション、デジタル化を重点的に推進することで、海洋・環境・生態系・水産資源保護に関する国際的な約束と責任を全面的に果たし、水産業の長期的発展を目指します。

イエローカード解除は水産業だけの問題に留まらず、ベトナムの国際的な信用と地位にかかわる重大問題です。全ての政治システムが一体となった取り組みを通じて、IUU対策と持続可能で責任ある水産業発展に向けたベトナムの強い決意と公約が示されています。