両国が外交関係樹立45周年を記念している背景の中、今回の訪問は、政治、国防・安全保障、経済、教育、文化を始め、全ての分野における両国関係をさらに強化するための措置について話し合うよいチャンスです。

近年、ベトナムとオーストラリアの関係は急速かつ実質的に発展しています。オーストラリアはASEAN東南アジア諸国連合においてベトナムを重要なパートナーと見なしており、ASEANにおけるベトナムの役割を高く評価しています。今年の3月に行われたベトナムのグエン・スアン・フック首相によるオーストラリア訪問を機に、両国は両国関係を戦略的パートナーシップに格上げすることにしました。

全ての分野で効果的かつ実質的な協力を展開

近年、ベトナムとオーストラリアは、訪問団交換を促進すると共に、外交国防次官級戦略的対話や、人権対話、ODA政府開発援助に関する高級協議などの協力枠組みを拡大しています。

国防・安全保障分野では、両国は、越境犯罪、出入国管理、違法移民、情報交換を効果的に展開しています。オーストラリアは、ベトナムの越境犯罪防止対策センターに代表を派遣する唯一の国です。これにより、テロ、人身売買、麻薬犯罪などに関する情報は速やかに交換されています。

経済関係では、オーストラリアは、ベトナムにとって8番目の貿易相手国であるのに対し、ベトナムはオーストラリアにとって15番目の貿易相手国です。両国の貿易総額は年平均7％成長しており、2017年は前年と比べ22.2％増の65億ドルにのぼっています。

ODA政府開発援助では、オーストラリアはベトナムにODAを供与している国と地域の中でトップに立っている国の一つです。先ごろ、オーストラリアは2018・2019年度にベトナムに8400万オーストラリアドル（日本円で約69億円）を供与すると公約しています。

教育は両国の協力関係が精力的に進められている分野です。オーストラリアはベトナムの学生に多くの奨学金を提供しています。現在、オーストラリアに留学しているベトナムの学生は3万人にのぼっています。また、両国の大学などはいろいろな協力プログラムを展開しています。

両国国民の交流も活発に行われています。現在、オーストラリアに在留しているベトナム人の数はおよそ30万人で、オーストラリアにおける5番目の外国人コミュニティです。そして、ベトナムを訪れるオーストラリア人観光客は、急増しており、2017年は37万人に達し、前年と比べ、15.5％増ともなっています。

そして、両国は、ASEANや、東アジアサミット、APECアジア太平洋経済協力会議、国連など国際場裏でのよい連携・協調を見せています。ベトナムは、オーストラリアの2018・2020年期の国連人権理事会入りを支持している一方、オーストラリアはベトナムの2020・2021年期の国連安全保障理事会非常任理事国入りを支持しています。

戦略的パートナーシップを深化する訪問

こうした背景の中で、オーストラリアのコスグローブ総督による今回のベトナム国賓訪問は両国の戦略的パートナーシップを深化させる原動力になると期待されています。訪問で、コスグローブ総督はベトナムの指導者らと会談・会見を行い、両国関係をさらに発展させる具体的な措置について話し合う予定です。