既にお伝えしましたように、6日から10日にかけてベトナム共産党のグェン・フー・チョン書記長は、両国の外交関係正常化20周年にあたりアメリカ政府の招きに応え、アメリカ公式訪問を行なっています。訪問の前、チョン書記長はアメリカの報道機関のインタビューに応じ、両国に未来志向のビジョンを共有して欲しいとの希望を表明しました。
インタビューで、チョン書記長はベトナムとアメリカの関係について、ベトナム戦争の後「敵」から「友だち」に変わり、さらに、2013年には「全面的パートナー」に引き上げられたと明らかにし、これは、両国が外交関係を正常化した1995年には、誰もが想像できない大きな前進であると述べました。また、両国関係に残されている問題について、率直かつ建設的な対話を通じて相互理解を深めるのが一番よい方法であるとしています。
アメリカの記者団の質問に答えているチョン書記長
将来へ向けての協力
今回の歴史的なアメリカ公式訪問の目標について、ベトナムのグェン・フー・チョン共産党書記長は、ベトナム共産党書記長がアメリカを公式訪問するのは今回が始めてであると明らかにし、訪問期間中、双方はこれまでの道のりを評価したうえで、相互尊重と互恵の原則に基づいて「未来志向」のビジョンを共有して長期的で安定的な友好協力関係を築くタイミングであると述べました。又、ベトナムはアメリカを外交政策の最も重要なパートナーの一つとして常にアメリカとの関係を重視し、この訪問はあらゆる分野における両国の全面的なパートナーシップを深めるよいチャンスであると明らかにしました。
そして、二国間関係と共に、アジア・太平洋地域の情勢、TPP=環太平洋戦略的経済連携協定、気候変動、地域の安全保障、航行の自由など、双方が共に関心を寄せている世界と地域の問題についても意見交換すると語りました。チョン書記長は、この訪問は、両国の相違点について率直に話し合い、相互理解の深化及び信頼醸成を目指するチャンスであるとの希望を表明しました。
小異大同と経済協力拡大
チョン書記長は、インタビューで人権問題に関するアメリカの記者団の質問に答えました。ドイモイ(刷新)事業が実施されて以来30年、ベトナム国民の権利擁護事業が多くの成果を収めていると強調しました。国民の権利は憲法を初めとする法律や政策などできちんと規定されており、実際に擁護されているとしています。ベトナムとアメリカの間には、人権に関して相反する見解があると認めましたが、率直かつ建設的な対話で、その違いを両国関係を妨げないように抑制する必要があるとの考えを示しました。
TPP=環太平洋戦略的経済連携協定について、チョン書記長は、ベトナムは周到に準備したため、自信を持ってTPPに参加していると語りました。ベトナムとアメリカはほかの加盟国と協力してTPPに関する交渉を一日も早く完成することを目指しているとしています。
チョン書記長とアメリカの記者団による記念写真
アジア太平洋地域でのアメリカの役割強化を歓迎
アジア太平洋地域、並びに、ベトナム東部海域いわゆる南シナ海におけるアメリカの役割について、チョン書記長は、アメリカは世界の大国、及び、国連安全保障理事会の常任理事国として世界と地域の平和、安定の維持において大きな利益と責任を持っていると述べました。ベトナムは、アメリカとアジア太平洋地域諸国との協力関係の強化を歓迎していると強調しました。
ベトナム東部海域の問題について、チョン書記長は、1982年の国連海洋法条約を初めとする国際法に基づいてこの海域での紛争を平和的に解決することを支持するとのアメリカ政府の姿勢を高く評価しました。また、アメリカに対して、アジア太平洋地域の平和、安定の維持に貢献するように、適切な発言と行動を行なうようとの希望を表明しました。