ベネズエラと中南米諸国との緊張情勢

(VOVWORLD) -この数日間、南米ベネズエラとアメリカや中南米諸国との関係は、関連各国が指摘しあったり、軍事介入と脅かしあったりして、緊張になっています。これらの対立により、ベネズエラは政治的にも経済的にも危機解決においてさらなる困難な状態に陥っています。
ベネズエラと中南米諸国との緊張情勢    - ảnh 1 マドゥロ大統領==AFP/TTXVN

 ベネズエラでは、原油価格の低迷や政治の不安定化によって、国民の不満が高まり、その窮状を切り抜けるために、マドゥロ大統領は、憲法改正に向けた制憲議会選挙を行いました。ベネズエラ選挙管理委員会が選挙に行った人数は投票率41.5%にあたる800万人に上ったと発表した後に、同国のニコラス・マドゥロ大統領は勝利宣言を行いました。さらにマドゥロ氏は「18年の革命の歴史の中で最大の投票」だと今回の選挙を自賛しました。

内部不安定

野党連合は、「大統領の権限が強化される」と選挙をボイコットし、首都カラカスなど、各地で反対派と治安部隊が激しく衝突しました。経済的にも政治的にも大きな影響力を持つ国々の一つであったものの、現在、ベネズエラの衰退情勢はエコノミストの予想を上回りました。2013年~2017年まで、同国のGDP=国内総生産は4割も引き下げ、国家予算の歳入も51%低下しました。経済政策の失敗が招いたここ数年の物不足やインフレが、主要輸出品である原油の国際価格の下落でさらに悪化しています。食料品や医薬品の不足に拍車が掛かり、年720%とされるインフレ率は世界最悪レベルとなっています。また、今年始めから、マドゥロ大統領は3回にわたって最低賃金を引き上げました。外貨不足や価格統制の失敗など根本的な原因は解決していないのが実情です。現在、人口の約82%が食糧不足や貧困状態に陥られています。

幾つかの中南米国との緊張を高め

ベネズエラでの政治的対立はこの国の領土を超えています。ベネズエラ情勢を巡り、北中南米17カ国が今月8日、ペルーのリマで緊急外相会議を開催しました。4日に発足したベネズエラの制憲議会について「違法」とし、認めないことで合意しました。

会議後に発表した声明では国際社会に対し、ベネズエラへ武器を輸出しないよう求めていくことを盛り込んでいます。議長国であるペルーのルナ外相は記者会見で「我々はベネズエラ政権が独裁政権だとの見解を共有している」と断言しました。

これに対し、ベネズエラのマドゥロ政権は「完全に拒絶する」と反発しています。さらにペルーの外務省は11日、ベネズエラで国会よりも強大な権限を持つ制憲議会が発足したことに抗議し、ベネズエラの駐ペルー大使を追放すると発表しました。

米国の介入に反対

こうした状況の中、アメリカのトランプ大統領は今月11日、「軍事的な選択肢を排除しない」などと述べ、軍事力をちらつかせて国民への抑圧をやめるよう強く迫りました。

この発言を受けて、マドゥーロ大統領は14日、与党が開いた集会で演説し「今月26日と27日に軍事演習を行うよう軍に指示した」と述べて、トランプ大統領を強くけん制しました。

また、中南米諸国はマドゥロ政権が国会をしのぐ権限を掌握する制憲議会を設置したことを批判し対立を深めてきましたが、アメリカによる軍事介入は認めない立場を強調しました。制憲議会に抗議してベネズエラ大使を11日に追放したばかりのペルーのルナ外相は「国内外問わず、武力に訴えるとの脅しはベネズエラに民主的統治を復帰させるという目標や国連憲章に記された原則を阻害するものだ」と主張しています。

ベネズエラは経済・政治危機を乗り越える為にあらゆる措置を探しています。しかし、国内外の対立はその危機を乗り越える過程を妨げる障壁となっています。

ご感想

他の情報