ミャンマーの発展事業をめぐる問題


ミャンマー連邦議会は今月15日、上下両院合同の投票で、アウン・サン・スー・チー氏率いる与党・NLD=国民民主連盟が擁立したティン・チョー氏を大統領に選出しました。3月30日に新大統領に就任し、任期は5年です。


ミャンマーの発展事業をめぐる問題 - ảnh 1
ティン・チョー氏(写真:morningledger)

ティン・チョー氏はNLDメンバーで、スー・チー氏の側近です。スー・チー氏が設立した慈善団体の役員でもあります。ティン・チョー氏は、17日、上下両院合同議会に省庁再編案を提出する方針を固めました。NLDが過半数を握る議会で承認されれば、17日中に可決され、ティン・チョー氏は来週にも、新たな省庁編成に基づく閣僚名簿を議会に提出します。


国民に希望をもたらす

軍事クーデター以来、軍が国政の実権を握ってきたミャンマーで、民主選挙を経て文民大統領が誕生するのは54年ぶりとなり、同国の政治安定と経済発展に大きく寄与すると評されています。ティン・チョー氏は大統領選出後、「これはミャンマー国民の勝利、アウン・サン・スー・チー氏の勝利だ」と集まった報道陣に語りました。

一方、ミャンマー国民は、ソーシャルネットワークに「新大統領、おめでとう」や、「私達が新大統領を敬愛する」を流すなどして、ティン・チョー氏に支持を表明し、新大統領と新政府が国の安定と発展をもたらすよう期待をかけています。


試練も少ない

しかし、アナリストらは、「ミャンマー新政府の今後の道のりは容易ではない」と指摘しています。中でも、民族紛争の解決や、各政党間の信頼醸成と団結づくりは重い任務としています。また、新政権は、国軍と憲法改正などで協調を探る一方、国軍の政治的な影響力を低下させるという難題が待ち受けます。

大統領候補3人の中で、残る2人は副大統領に就任し、NLD上院議員のヘンリー・バン・ティオ氏は政府予算や社会福祉を担当し、元国軍幹部のミン・スエ氏は経済政策などを担うことになります。さらに国軍総司令官は内務、国防、国境の重要3閣僚を指名するほか、国会では全議員の25%に当たる軍人議員を指名できます。

次は、経済問題です。現在、およそ6000万人のミャンマーの総人口の約3分1が貧困状態に置かれていることから見れば、その問題解決は簡単ではないといえます。


今後の動き

こうした中、与党側は、すべての問題を解決するために力を尽くす姿勢を示しています。NLD党首アウン・サン・スー・チー氏は16日、声明を発表し、ティン・チョー氏が次期大統領に選出されたことについて、「感謝の意を表したい」と表明しました。「前途に待ち受ける課題は国民と共に乗り越えられると信じている」と強調し、新政権への支援を訴えました。

チョー氏は、現職の国会議員ではなく、慈善団体の幹部を務めていて、スー・チー氏としては側近を大統領に据えることで、実質的に自らが政権を運営していく方針です。新政権は早ければ、今月末にも発足する予定ですが、今後はスー・チー氏が入閣して外相などのポストに就くのか、閣外から政権を動かしていくかどうかが焦点となります。


ご感想

他の情報