(VOVWORLD) - 先週末、ドイツ南部のミュンヘンで、世界の首脳や閣僚が安全保障や外交上の課題について年に1度討議する「ミュンヘン安全保障会議」が3日間の日程で行われました。今回の会議は、アメリカと欧州との緊張が高まる中で、行われました。
全体では首脳35人、外相・国防相80人ほどが臨み、大国間の競争と協力、EU=欧州連合の将来、環太平洋関係、国防政策、貿易と国際安全保障との関係などについて話し合いました。
緊張と亀裂
アメリカと中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)をめぐる摩擦や、トランプ政権による中距離核戦力全廃条約の破棄、ロシアのパイプライン計画をめぐる米欧対立など、世界各地で緊張が高まる中での開催となりました。各国の外交トップが直接対話を通じ、緊張を緩和できるかに注目が集まりました。
(写真:securityconference.de)
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ただ、多くの重要課題を抱えるアメリカからはペンス副大統領が出席するものの、直前まで隣国ポーランドで中東安定化に向けた会合に参加していたポンペオ国務長官は欠席しました。国防長官は空席のため、シャナハン長官代行が参加しました。主要国首脳としては唯一、地元ドイツのメルケル首相が現地入りしました。
メルケル氏は会議を前に、「多国間の協調に取り組む」とのメッセージを公表しました。メルケル氏と共に登壇予定だったフランスのマクロン大統領は直前に参加を取りやめました。ドイツのフォンデアライエン国防相は冒頭の演説で、「世界は激変しており、どの国も単独では対応できない」と、国際協調の重要性を強調し、単独行動を強めるアメリカをけん制しました。
また、アメリカのの中東政策に対し、欧州側から懸念や反発の声が相次ぎました。中東安定化に向けた米欧の結束には、程遠い現状が浮き彫りになりました。アメリカがイラン核合意から離脱し、イランへの全面的な制裁を再開したことに対し、イギリス・フランス・ドイツは核合意の継続を目指しています。
メルケル首相は16日の演説で、イランのミサイル開発の問題があることを認めた上で、核合意を「イランに圧力をかけるために使えるかもしれない小さな錨(いかり)」と意義を強調しました。
不安定な世界
ミュンヘン安保会議は1963年に開始しました。民間主催の安保関連の会議としては世界最大規模とされ、「安保版ダボス会議」とも呼ばれています。欧米における安全保障会議の中で最も権威ある民間主催の国際会議の一つであり、欧州主要国の閣僚をはじめ、世界各国の首脳や、閣僚、国会議員、国際機関主要幹部が例年参加しています。会議では、欧州のみならず、各地域及びグローバルな安全保障問題について広く議論がなされます。
今年の会議は、世界の不安定な状況が続いている中で行われました。また、国際関係においては、多くの矛盾が発生しています。また、世界の新秩序づくりや、サイバーセキュリティ、テロなどの問題も激化しています。こうした中、各国間の対話は重要なものと評されています。そして、ミュンヘン安保会議は世界の衝突を対話や、平和措置で解決するという任務を果たすものでなければならないとみられています。