(VOVWORLD) - 7月18日、メコン川委員会は洪水期の間、6~7月の水位は過去最低を記録した1992年の水準をさらに下回っていると明らかにしました。これはメコン川下流に住んでいる各国の住民の生活に悪影響を与えているとみられます。
メコン川は毎年、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムなど中下流域諸国の人口1億人あまりの生計を支え、180万トンの水産物を提供しています。水と沖積の不足により、下流域の田畑は肥沃さを失い、下流域諸国の食糧不足を引き起こす恐れがあります。
史上初の水位低下
7月18日の観測によりますと、タイのチェンセーンでメコン川の水位は2.1メートルで、1961年から57年間の同期間の平均水位と比べ3.02メートル下回りました。また、ラオスのビエンチャンでメコン川の水位は0.7メートルで、同じく5.54メートル下回っています。こうした中、ベトナムのメコンデルタの水位も例年より低下しています。魚釣りで生計を立てているアンザン省、アンフ県、フホイ村の住民の一人は次のように話しました。
(テープ)
「水位の低下につれ魚が逃げてしまいました。魚釣りで生計を立てる住民は困難に陥っています。子供たちはビンズオン省へ出稼ぎに行かざるを得ませんでした。」
メコン川を効果的に活用
メコン川委員会のKhem Sothea博士によりますと、雨季の間、メコン川の水位が記録的に低下したことが異常気象です。その原因として降水量が少なく、メコン川に注ぐ支流の開拓が過剰になり、貯水池式河川の水流が上流ダムでせき止められたことなどが挙げられています。
雨季の間、メコン川の水位低下が深刻になっていることはベトナムやカンボジアなど下流域諸国に悪影響を与えています。例を挙げると、農業生産用の水が不足し、川沿いの生態系と生物多様性がマイナス影響を受け、ベトナム人とカンボジア人にとって重要な食品である魚介類が減少しています。また、下流域の水運が困難になり、ベトナム南部メコンデルタ各省は深刻な塩害に直面するとしています。こうした事情を前に、メコン地域諸国は責任感を高め、メコン川に消極的な影響を与える活動に関する情報交換を強化したうえで、近い将来、メコン川流域の効果的かつ持続的な開発に関する法律の策定を目指す必要があります。