ロシアとトルコの関係をめぐる問題


去年11月、トルコがロシア軍機を撃墜した事件をめぐって、トルコのエルドアン大統領は27日、ロシアのプーチン大統領に謝罪の手紙を送りました。これは、積極的な動きで、ロシアとトルコとの関係の正常化に繋がると見られています。

ロシア大統領府は27日、トルコがロシア軍機を撃墜した事件に関して、エルドアン大統領から謝罪の手紙を受け取ったと発表しました。手紙には、「ロシアはトルコの友人かつ戦略的パートナー」であり、「パイロットの遺族におわびしたい」などと書かれていたということです。

これより前に、ロシア側はトルコを強く非難し、トルコからの食品の輸入停止や、トルコ人を対象とした入国ビザ免除の撤回、トルコへの観光ツアーの制限などして、制裁措置をとっていました。


トルコの目的

エルドアン大統領の決定は、トルコが外交や、経済、テロ対策など多くの分野で多大な困難に直面している背景の中で出されました。外交問題に関して、トルコは難民問題で、EU=欧州連合に批判されています。

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エルドアン大統領


また、イラクや、シリア、エジプトなど近隣諸国との関係も問題を抱えています。経済問題に関し、トルコでは、ロシアから経済制裁を科されたことなどで、観光業を中心に打撃を受けています。制裁の一環として、ロシア政府はトルコへのチャーター便の運航を停止し、ロシア外務省はロシア国民にトルコ訪問を控えるよう勧告しました。

政府方針に従い、ロシアの旅行会社は相次いでトルコ行きツアーの販売を中止しました。年間400万人以上のロシア人が観光でトルコを訪れており、ロシア人観光客による売上高は2014年には約27億米国ドルに達していたので、トルコにおいて、ロシアの輸入規制に加え、このようなサービス分野の減収などによる悪影響が出ました。さらに、トルコは、国内で消費する天然ガスの約53%をロシアに依存しています。ロシアの制裁によるトルコ経済の損失は90億ドル(約1兆円)にのぼるとされています。

こうした中、エルドアン大統領の謝罪の手紙は、ロシアとの関係を修復し、低迷する経済の立て直しを図る狙いもあるものとみられます。


ロシアの反応

トルコ側の動きに関し、ロシアのプーチン大統領は「トルコ大統領から手紙を受け取り、関係正常化のプロセスを始めると決めた」と述べました。29日、プーチン大統領とエルドアン大統領は電話会談をしました。関係の修復に向けた決意を表明し、テロとの戦いで協力することで一致しました。

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プーチン大統領



さらに、両首脳は7月1日にロシア南部ソチで両国外相が会談することで一致し、直接会談を検討することでも合意しました。プーチン氏は電話会談後、政府会合を開き、貿易や経済、観光面で両国関係を正常化する手続きに入るよう指示しました。

経済面でも外交面でも、ロシアとトルコは互いに重要な相手国です。その関係悪化は両国にも損失を与えるのは間違いないでしょう。こうした中、今回のエルドアン大統領の決定は両国関係の正常化にとって始まりに過ぎませんが、両国が自国の利益のために協力を続けるための重要な前提と見られています。

 

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