ロシアとトルコ緊張関係をめぐって


トルコの戦闘機が24日、シリアとの国境上空でロシアのSu24型戦闘機を撃墜した事件は、両国関係を悪化させるだけでなく、イスラム教過激派IS=イスラム国との戦いにも悪影響を与えていると評されています。


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(写真:AP)

この事件は、ロシアがアメリカ主導の有志連合と協力してIS攻撃を進め、積極的な結果を収める中で発生しました。


ISに利益をもたらす事件

テロ組織が反テロ戦に参加する国々の間の矛盾をよく利用することから見れば、これは、ISに利益をもたらしているといえます。最近、複数のテロ組織はロシアと有志連合諸国を標的にテロ攻撃を行っています。

その中で、ロシア旅客機爆発事件や、パリ同時多発事件などはその証と見られています。こうした中、ある方面から見れば、トルコがロシア軍機を撃墜したことはISへのロシアの圧力を減らすことに寄与するといえます。しかし、この事件に関していえば、ロシアのプーチン大統領は、「テロとの戦いで仲間であり同盟だと考えていた国の裏切りによる攻撃」と強く批判しました。

イギリス社会研究所の専門家アラン・メンドザ氏は、「ロシアの報復措置とトルコの対応は、シリアでのロシアとNATO=北大西洋条約機構間の緊張関係の悪化に繋がる」と警告しています。


IS対抗のために力を入れるよう呼びかける米国とNATO

現在、65カ国はISとの戦いに参加していますが、その力が徐々に減っていると指摘されています。アラブ諸国がその戦いから脱退したことはその証とされています。ワシントン国際戦略学研究所のアントニー・コーデスマン研究員は「有志連合には65カ国が参加しているものの、実際に行動するのは9カ国しかない」と指摘しています。

2日、ロシアのアントノフ国防次官は「ロシア航空宇宙軍が空爆を行っているのは石油製品の保管庫、加工工場、輸送隊だ。これによってシリアで非合法に採掘された石油の取引量をおよそ半分に減らすことに成功した」と語りました。

また、「トルコがイスラム国」からの石油密輸に関与している」と摘発しました。こうした中、アメリカとNATOはロシアとトルコに対し、この問題を棚上げにして、緊張を緩和し、ISとの戦いに力を入れるよう呼びかけています。

トルコがロシア軍機を撃墜した事件は両国関係を悪化させるだけでなく、ISとの戦いの障壁ともなっています。ISがインドや、バングラデシュ、アフガニスタンなどにも攻撃すると威嚇している背景の中で、これは大きな問題と見られています。そして、今後、ロシアや、トルコ、NATO、アメリカがこの問題を解決するためにどのような措置をとるかが焦点となっています。



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