(VOVWORLD) - 国連改革は、どうしても進めなければない世界の差し迫った課題となっています。
18日、ニューヨークの国連本部で、国連改革をテーマにしたハイレベル会合が行われました。120カ国以上が国連改革を訴える政治宣言の草案に署名したことは、国連改革が世界の重要な課題になっていることを示しています。
国連総会 |
新しい課題ではない国連改革
グローバル化が進む中、21世紀の国際社会が直面している問題解決への取組において、最も普遍的かつ包括的な組織である国連が果たす役割は益々増大しています。今後とも国連が期待された役割を果たせるよう、安全保障理事会改革を始めとする国連改革を通じて、国連の機能強化を図ることが重要です。国連設立60周年にあたる2005年3月、当時のアナン国連事務総長は、「よ り大きな自由に向けて」と題した報告を発表し、世界の中で機能する国連に向けた改革を実現するという方向性を提示しました。そして、2005年9月に開催された国連首脳会合の成果文書において、「開発」、「平和と集団安全保障」、「人権と法の支配」、「国連強化」の4分野における問題に取り組む決意を表明しました。特に「国連強化」については、国連システムの妥当性、実効性、効率性、信頼性などの強化を目指すこととされました。国連が設立されてから72年経ちましたが、現在、その加盟国数は191を数え、国連は文字通り、世界で唯一の普遍的な国際機構となっています。そして、この72年の間に増加してきたのは、加盟国の数にとどまりません。機構の活動分野も多様化する地球的問題群に対応して増加の一途をたどってきました。国連憲章には想定されていなかった国内紛争への対処や紛争後の社会再建、難民・国内避難民の保護、環境問題への取組、エイズ予防対策からテロリズム、大量破壊兵器の拡散防止にいたるまで、今日、国連が関与しない問題はないと言えるほどその活動は広範な分野に及んでいます。
国連改革への決意
しかし、ハイレベル会合で演説したアメリカのトランプ大統領は、「国連の官僚主義的な体質や、運営の仕方に問題がある」などと国連を批判し、改革の必要性を訴えました。トランプ氏は「2000年時に比べ、予算は140%、職員は倍以上増えているのに、投資に見合う結果が出ていない」と指摘しました。これに対し、国連のグテーレス事務総長は、「国連は迅速で効果的、柔軟で効率的にならなければならない」と述べ、トランプ大統領の考えに理解を示し、改革を進めていく考えを表明しました。グテーレス氏は、「私たちは国連を強くするため、大胆な改革を進める」と決意を示し、改革後の国連は「手続きより人」を重視する必要があると述べました。しかし、国連安保理内の大国が自国の国益しか守っていないことや、アメリカが国連の分担金に不満を表明していることなどは国連改革にとって大きな試練となっていると見られています。それにしても、国連改革は、どうしても進めなければない世界の差し迫った課題となっています。