中東和平プロセスの行き詰まり


イスラエルとイスラム原理主義組織「ハマス」との停戦が不調に終わったことで、イスラエル軍はパレスチナ暫定自治区のガザ地区への軍事作戦を再開しました。これにより、中東和平プロセスは再び行き詰まりの状態に落ちいています。


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イスラエル軍がガザ地区を空爆(写真:AP)

イスラエル軍は、国連の求めに応じる形で、現地時間17日午前10時から5時間、攻撃を停止すると発表し、ハマスもこれに応じる考えを明らかにしましたが、これは一時的な措置に過ぎません。

それより前の15日、イスラエルはエジプトの停戦案を受諾したものの、攻撃停止期限後もガザからイスラエル北部の主要都市ハイファなどに約80発ものロケット弾が発射されたため、ハマスへの攻撃を再開したと発表しました。その後、約30カ所を空爆しました。


人道的危機

イスラエル軍によるガザ地区への軍事作戦とハマスによるロケット弾攻撃の応酬を巡っては、一連の軍事作戦による死者は225人に上り、けが人は1800人を超えました。また、イスラエル軍はガザ地区北部と東部の住民に対し、「安全のため」として16日午前8時(日本時間の午後2時)までに避難するよう警告を行いました。

今のところ、これらの地域で大規模な攻撃が行われたという情報はありませんが、国連機関によりますと、これまでに1万7000人を超える住民がガザ地区にある16の学校に身を寄せており、イスラエル軍によるさらなる攻撃の拡大を懸念する声が上がっています。


アメリカの仲介役

パレスチナ暫定自治区のガザ地区の情勢を巡って、アメリカのオバマ大統領は16日、ホワイトハウスで声明を発表し、「子どもを含む多くの罪のない市民に死傷者が出ていることに心を痛めている」と述べ、事態の悪化を防ぐことが必要だと強調しました。

そのうえで、「われわれは、停戦案を提示したエジプトの努力を支持する。今後24時間にわたって、友好国などと協議を続け、停戦交渉をまとめるため、あらゆる外交手段を駆使する」と述べ、働きかけを強める考えを示しました。


行き詰まり

こうした中、イスラエルとハマスは強固な姿勢を崩していません。中東の衛星テレビ局アルジャジーラによりますと、ハマス幹部アブマルズーク氏は15日、停戦案について「対応を検討中で結論は出ていない」と述べました。

また、イスラエル・メディアによりますと、ガザの武装組織「イスラム聖戦」は同日、戦闘継続の方針を明らかにしました。

こうした中、国際世論、「この状態が長引けば、人道的危機がさらに深刻化する」との懸念を示した上で、当事者に対し、平和的な解決策の模索を加速させるよう呼びかけています。

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