(VOVWORLD) - アメリカとカナダは去る9月30日、NAFTA=北米自由貿易協定に代わる新たな貿易協定 USMCA=アメリカ・メキシコ・カナダ協定に合意しました。これはアメリカのトランプ大統領の通商政策の柱となるNAFTAの見直しに向け、大きな前進とされています。
(写真:AFP/TTXVN) |
関連各側からの譲歩
アメリカ通商代表部のロバート・ライトハイザー代表とカナダのクリスティア・フリーランド外相は共同声明を発表し、「USMCAは、私たちの労働者、農家、企業などにとって高水準の貿易協定であり、より自由な市場、より公正な貿易、強固な経済成長をこの地域にもたらすだろう」と述べました。
また、USMCAを「21世紀のための現代版貿易協定」と呼び、「中所得層を強化するとともに、北米の5億人近い住民に対して、賃金の高い安定した仕事や、新しい機会を与える」と述べました。
ロイター通信によりますと、トランプ氏がカナダにちらつかせてきた輸入車への高関税措置の回避に向け、カナダが自動車輸出が一定以上の水準まで増えれば数量規制に応じることで合意したということです。
ロイター通信は情報筋の話として、アメリカ農家は今後、カナダの乳製品市場の3.5%に進出できるようになると報じました。また、カナダはアメリカが検討している自動車関税をめぐり、いくつかの保護措置を獲得したということです。一方、アメリカの鉄鋼・アルミ関税は当分、継続する見通しです。
新しい貿易障壁が出るか
USMCAが合意されたことはアメリカ企業に安心感をもたらすものの、いくつかの懸念が浮上しています。USMCAによって、アメリカのカナダ乳業市場へのアクセスが拡大するようになりますが、鉄鋼・アルミニウム生産分野にマイナス影響を与える可能性があります。また、カナダの関係筋によりますと、今回の合意ではカナダの鉄鋼・アルミにアメリカが課す関税の問題は解決しなかったとしています。
このような中、メキシコとカナダの鉄鋼生産業界は自国の政府に対し、USMCAが今年11月末に締結する前に、アメリカとの関税問題について討議するよう呼びかけています。
アメリカ、メキシコ、及び、カナダの北米3カ国はUSMCAで合意したことに満足していますが、この協定が発効してから、その価値を十分に把握できるようになるでしょう。