(VOVWORLD) - 南米のベネズエラでは、今月、マドゥロ大統領に反発するグアイド国会議長が暫定大統領に就任すると宣言しました。反政府のデモ行進のほか、マドゥロ大統領の支持者らによるデモ行進が行われました。さらに、反政府デモに対して治安部隊が発砲するなど、混乱が続いています。
ベネズエラでの抗議デモ(写真:VNA) |
アナリストらは、「政府と反政府側が強固な姿勢を保っていることから、その混乱は内戦に発展する可能性がある」と分析しています。
緊張のエスカレート
欧米など、多くの国はマドゥロ政権に対し、8日以内に大統領選の再選挙実施を決定するよう求めていますが、マドゥロ大統領は地元テレビのインタビューに応じ、選挙実施を拒否したうえで、「これらの国はベネズエラの選挙について語る道徳的な基準を持ち合わせていない」などと批判しました。
また、自ら暫定大統領就任を宣言したグアイド氏について「憲法違反だ」と主張しました。一方、グアイド氏はマドゥロ大統領への圧力を強化しています。特に、ベネズエラ政府と軍隊の多くの高官は政権に反旗をひるがえしています。
アメリカ駐在ベネズエラの武官であるホセ・シルバ大佐は26日、グアイド氏支持を表明し、ベネズエラ国民に対し、「正統な大統領はグアイド氏だけであることを認めてほしい」と呼び掛けました。国際社会の態度も異なっています。ベネズエラの事態を受け、26日、国連安全保障理事会では、アメリカなどの要請に基づいてベネズエラ情勢について会合が開かれました。
マドゥロ大統領(写真:AFP) |
席上、アメリカのポンペイオ国務長官が「失政と抑圧と腐敗で国民の夢を奪っている」とマドゥーロ政権を批判したうえで、「どちらにつくか選ぶ時だ」と述べて、グアイド国会議長を暫定大統領として認めるよう各国に訴えました。
これに対して、ロシア、それに南アフリカ、インドネシアなどは、「ベネズエラは国際社会の脅威ではなく、内政干渉すべきでない」と反対したうえで、マドゥーロ政権による政治対話を見守るべきだなどと主張し、安保理として結束することはできませんでした。
困難な道
実際、ベネズエラの現在の混乱は、長年続いてきた内部矛盾から生まれたものといえます。マドゥロ大統領は2018年5月に再選されましたが、多くの有権者はこの選挙をボイコットしました。また、南米14カ国とカナダなどは選挙の結果を認めていません。
グアイド国会議長(写真:AFP) |
政治不安に伴い、経済危機が発生しています。昨年8月、ベネズエラ政府はハイパーインフレの抑制を狙って、通貨単位を5ケタ切り下げるデノミを実施しましたが、市民は新通貨の流通に困惑し、ベネズエラの経済活動は一時的に麻痺状態になりました。
それに加えて、最近、抗議デモが連日続いています。マスメディアによりますと、同国のポルトゥゲサ州、バリナス州、タチラ州、カラカス州、アマソナス州、ボリバル州など、国内各地で展開されている抗議デモによる死者数が20人となっています。
こうした中、アナリストらは、「ベネズエラでの混乱はさらに長引く可能性がある」と指摘した上で、「唯一の解決策は政府と反政府側がともにに譲歩することである」と分析しています。