各国の国防費の増加をめぐる問題

(VOVWORLD) - アメリカ上院は18日、7000億ドルにのぼる2018会計年度の国防予算を可決しました。その金額はトランプ大統領が提案した額よりおよそ5%高 くなっています。アメリカのほか、複数の大国も国防費を増加させています。これは、世界の平和、安定に影響を与えるものと見られています。

アナリストらによりますと、経済の回復に伴い、各国が国防活動に注入する資金が大きく増加しています。

複数の国が国防費を増額

アメリカの国防予算の大枠を定める国防権限法の独自案が賛成89、反対8の圧倒的多数で可決されました。アメリカ上院のこの決定はトランプ大統領が唱える軍増強を支持する内容とみられています。予算では国防総省の兵器調達や軍兵士への給与支払いなど主要な活動に約6400億ドルが割り当てられ、アフガニスタン、イラク、シリアなどの紛争には約600億ドルの資金が割り当てられました。

各国の国防費の増加をめぐる問題 - ảnh 1      アメリカ軍のF35がた戦闘機(写真:Military)

軍人の給与は2.1%引き上げ、ミサイル防衛強化には85億ドルを確保しました。前年度の6190億ドルから約13%増額となり、軍事優先で「アメリカ第一」の政策推進を目指す政権を後押しした格好です。トランプ大統領は2月に「アメリカ軍再建のため歴史的な軍事費増額を行う」と表明しました。

アナリストらは、トランプ大統領の任期中に、アメリカの国防費は1兆億ドルに達する可能性があると予測しています。一方、フランスは国防予算を増額させる方針を打ち出しています。同国のエドゥアール・フィリップ首相は今月始め、「来年の国防予算を16億ユーロ増加させる」と明らかにしました。また、「2019と2020年度にも国防予算をさらに増額させていく」としています。

他方、日本と韓国も国防費を増加させる予定です。日本の国防省は先月末、防衛予算の1億6000万ドルの増額を要求すると発表しました。この概算要求が通れば、日本の防衛予算は2.5%増額し、480億ドルに達します。そして、日本の防衛予算は6年連続で増額することになり、この予算は弾道ミサイル防衛システムの改良などのために利用されるということです。

各国の国防費の増加をめぐる問題 - ảnh 2   米国の国防費が7000億ドルにのぼる(写真:AP)

韓国についてですが、同国は、今後5年間、国防費を現在のGDP=国内総生産の2.4%の程度から2.9%に高めることを決定しました。

国防費増加よりも重要な平和構築

各国の軍増強の理由は分かりやすいといえます。これらは、多くの地域での緊張のエスカレートや、テロとの戦い、全世界に広がっている各国間の競争、国際関係における矛盾などです。しかし、「国防費増額は国家安全保障の一部に過ぎない」との指摘もあります。

国連のグテーレス事務総長は3月16日、ステファン・ドゥジャリッチ報道官を通じて、「テロに効果的に対処する必要性は認めるものの、それには軍事支出以上のものが必要である」と懸念を示しました。

グテーレス事務総長はさらに、「紛争予防や、紛争解決、暴力的過激主義への対抗措置、平和維持活動、平和構築、持続可能で包摂的な開発、人権の向上と尊重、人道的危機への適時の対応を通じて、テロの根本原因に対処する必要もある」と述べています。

各国は、自国の軍増強を弁明する理由を出していますが、なんと言っても、これは各国間の不信深化に繋がります。特に、これにより、世界の軍事力バランスは大きなリスクに直面するでしょう。

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