(VOVWORLD) - アメリカは8月2日、1987年に旧ソ連とともに締結したINF=中距離核戦力廃棄条約を正式に離脱しましたが、わずか2週間後の18日、中距離巡航ミサイルの発射試験を行いました。これは、新たな軍備拡張競争に関する懸念を引き起こしています。
(写真:TTXVN) |
アメリカ国防総省は19日、地上発射型の中距離巡航ミサイルの発射試験をカリフォルニア州サンニコラス島で18日に行い、500キロ以上先の標的に命中したと発表しました。
INF全廃条約の拘束力から解放
米ロ間のINF全廃条約では射程500~5500キロの地上発射型ミサイルの開発が制限されていましたが、アメリカのエスパー国防長官は3日、INF全廃条約が失効したことを踏まえ、アジア太平洋地域に中距離ミサイルを配備したいとの考えを示しました。
配備時期については、「数カ月でできればいいが、それ以上かかるだろう」と述べました。また、アメリカ国防総省は、「地上発射型のミサイル開発を全面的に追及する」と表明し、ミサイル開発を加速する方針を打ち出しています。
アメリカがこのまま地上発射型巡航ミサイルの開発を進めた場合、次はミサイルがどこへ配備されるかに焦点が移ると評されています。
新たな軍拡競争に関する懸念
アメリカの動きに対し、ロシアと中国が猛反発しています。ロシアのリャプコフ外務次官は5日、アメリカがINFを配備した場合、ロシアも軍事増強などの対抗措置を取る考えを示しました。また、日本での陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画について、「攻撃転用可能であり、ロシアも対応を検討している」と述べました。
一方、中国外務省の華春瑩報道官も5日、「中国は自国の利益が損なわれることを決して座視しない。いかなる国であろうと中国の『玄関口』で面倒なことを引き起こすのも許さない」と指摘し、「アメリカがミサイルを配備すれば、あらゆる必要な措置を取り、国家の安全保障上の利益を断固として守る」と述べ、対抗措置を取る考えを示しました。
特に、アメリカが18日に地上発射型の中距離巡航ミサイルの発射実験を行ったことを受けて、国連安全保障理事会は、「22日午後(日本時間23日朝)、緊急会合を開く」と明らかにしました。
こうした中アナリストらは、「INF全廃条約の失効はアメリカをその拘束力から解放させ、アメリカのミサイル開発能力の向上につながる」と分析し、新たな軍備拡張競争に関する深い懸念を示しています。