日本の菅義偉(すが・よしひで)官房長官は7日午後の会見で、安倍晋三首相が9日から13日までアメリカを訪問し、10日にワシントンで日米首脳会談を行った後、大統領の招待に応えてフロリダの別荘を訪問する予定であることを明らかにしました。今回の首脳会談の意義について、「日米同盟の絆が揺るぎないことを改めて世界に示す機会にしたい」と述べました。
同盟関係の持続性
一方、アメリカのスパイサー大統領報道官は3日の記者会見で、今回の日米首脳会談について「貿易や安全保障の双方で多くのことが議題になる」と述べました。会談で、通商政策や経済協力、アジア太平洋地域での同盟強化などを幅広く協議するということです。経済関係に関し、トランプ氏はTPP=環太平洋経済連携協定からの離脱を決め、日本とのFTA=自由貿易協定交渉に意欲を示していますが、日本の自動車市場を批判しています。
(写真:AFP)
これにに対し、安倍首相は日本の自動車業界がアメリカ国内で雇用を生み出していることを説明し、理解を求める見通しです。また、アメリカ側は日本の通貨安誘導 も批判しており、首脳会談で日本側に対応を求める可能性があるということです。安全保障については、日本側は沖縄県・尖閣諸島がアメリカの対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象だとする従来方針を再確認したい考えです。
安倍首相によるアメリカ訪問に先立ち、アメリカのマティス国防長官は日本を訪問しました。今回の訪問は、マティス長官の強い意向で急きょ決まったもので、日米同盟の重要性を強調し、両政府の間で共通認識を改めて確認することで、トランプ大統領が選挙期間中に同盟国にさらなる負担を求める発言を繰り返してきたことなどへの懸念を払拭することが狙いです。
問題点
トランプ新政権の閣僚として初日本訪問を行ったマティス国防長官は日本の稲田防衛相と会談し、海上での中国の活動に関して懸念を共有しました。しかし、マティス氏はその後の会見で、軍事行動の必要性を排除しました。
日本政府関係者は、「マティス 長官の訪日は中国を念頭としたものだった」とし、「言葉がうまいというか、『日米関係は疑うまでもない』と言ったんだよ。しびれるだろ」、「政権移行時のこの混乱に乗じて、いろんなことをやってくるやつがいるんだよ。それをストップするために、日本に来たんだとも言っていた」などとしています。
アメリカのトランプ大統領が外国首脳とホワイトハウスで会談するのは、1月27日のイギリスのメイ首相に続き2人目となります。安倍首相はトランプ氏と個人的な関係も築き、日米同盟の強化につなげると期待されています。