(VOVWORLD) - サウジアラビアを始め、湾岸諸国とカタールとの緊張が勃発してからおよそ3ヶ月が経ちました。最近、緩和の兆しが見られていますが、正式な緩和までは時間がかかるとみられています。
カタールのタミム首長 (写真:ロイター) |
今年の6月、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)などの中東6カ国は、協調する形でカタールとの国交断絶を発表しました。その理由は、カタールのタミム首長が5月に「親イラン発言」を国営通信で流したことなどにあるとしています。タミム首長が「イランと敵対するのは賢明でない」と述べたとされる記事がカタール国営通信のウェブサイトに掲載され、中東のメディアが一斉に引用しました。
これに対し、カタール国営通信は「ハッカー攻撃を受け偽ニュースが流された」と主張し、問題の記事は捏造(ねつぞう)されたものだと訴えていました。
真の理由は?
ハッカー攻撃による偽ニュースは本当かどうかを別にして、カタールがイランとのいい関係を持っているのは事実です。そのほかに、小さなカタールがここまで目の敵にされる背景にはテロ支援などの他に、父を退けて首長の座を奪ったり、女性が自由に運転できる文化など、湾岸諸国の体制を危うくしかねない要素があるからだと見られています。
そのほか、カタール首長家がスポンサーになっている「アルジャジーラ」放送への反発があった可能性があると指摘されています。「アルジャジーラ」は穏健なイスラム圏世論を代表するというイメージがありますが、アラブの春を支援したのは事実です。エジプトでは「ムスリム同胞団政権」の成立に手を貸したとして、エジプト大統領はこれを危険視しています。バーレーンやサウジも、「アルジャジーラ」の報道姿勢は独裁体制打倒のキッカケになるとして警戒しているということもありそうです。
回復は難航か
サウジ側と連帯していた西アフリカのセネガルは21日、自国に召還していた駐カタール大使を再びカタールに戻したことを明らかにしました。断交騒動を巡っては、イスラム教の聖地メッカに巡礼するカタール国民に限ってサウジが入国を許可するなど、強硬だったサウジ側にも徐々に軟化の兆しが出ています。
しかし、サウジなどとカタールとの緊張の要因はまだ残っているので、緊張緩和までは、更なる外交努力と時間が必要だとされています。