(VOVWORLD) - この1ヶ月間、朝鮮民主主義人民共和国は核実験により、国際社会からの多くの制裁措置を受けています。隣国である中国も強固な態度をとっています。これらの措置は朝鮮民主主義人民共和国の核開発を抑制できるかどうかは国際世論の注目を集めています。
朝鮮民主主義人民共和国の6回目の核実験を受け、国連安全保障理事会は9月11日、新たな制裁決議案を全会一致で採択しました。朝鮮民主主義人民共和国への原油、石油精製品輸出に上限を設けることなどが柱で厳しい制裁に慎重だった中国とロシアも賛成しました。
朝鮮民主主義人民共和国のミサイル発射実験(写真:
EPA/TTXVN
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朝鮮民主主義人民共和国に対する制裁決議は9回目となります。初めて石油を対象としましたが、アメリカや日本が当初目指していた石油の全面禁輸は見送られました。
より強固なメッセージ
国連安全保障理事会が打ち出した朝鮮民主主義人民共和国に対する制裁措置に続いて、アメリカのトランプ大統領は9月21日、朝鮮民主主義人民共和国に追加制裁を科す大統領令に署名しました。朝鮮民主主義人民共和国と取引のある外国金融機関を、アメリカの金融システムから排除することが柱となりました。
エネルギーや建設など幅広い業種で、朝鮮民主主義人民共和国と取引をする個人や企業を制裁対象に指定できるようにします。中国も自国の銀行に対して朝鮮民主主義人民共和国との取引停止を命じました。核・ミサイル開発の資金源遮断に向け、経済面での封じ込めが一段と強まっています。
一方、中国商務省は国連安全保障理事会決議に基づき、石油精製品の輸出制限などを柱とする朝鮮民主主義人民共和国制裁措置を9月23日から実施すると発表しました。石炭と並ぶ朝鮮民主主義人民共和国の主要な外貨獲得手段である繊維製品の中国への輸入も禁止となり、朝鮮民主主義人民共和国経済は大きな打撃を受けることになります。
朝鮮民主主義人民共和国に対する石油精製品の輸出は、安保理決議で今年10~12月が50万バレル、18年以降は年間200万バレルに制限されています。中国は輸出量が上限に近づいた場合、禁輸措置に移行します。
金正恩氏がミサイル施設を視察(写真:EPA/TTXVN) |
中国は朝鮮民主主義人民共和国の主要な貿易相手国ですが、安保理決議に従い、朝鮮民主主義人民共和国産の石炭や鉄鉱石、海産物などは既に禁輸措置がとられています。
直接的な影響
中国商務省は8月14日、国連安全保障理事会の新しい対朝鮮民主主義人民共和国制裁決議(2371号)の履行に向けて、朝鮮民主主義人民共和国からの石炭、鉄・鉄鉱石、鉛・鉛鉱石、海産物の輸入を全面禁止すると発表し、翌日から発効されると明らかにしました。
これを受け、朝鮮民主主義人民共和国東海の海産物の中国側窓口となっている吉林(きつりん)省琿春(こんしゅん)市の貿易業者は、突然の措置に慌てるとともに、中国政府に損失補償を求めて抗議デモを行いました。
制裁措置は最善の対策となるか?
2006年以来、国連は9回にわたり、朝鮮民主主義人民共和国に対する制裁措置を適用してきました。しかし、実際、朝鮮民主主義人民共和国の経済はその制裁措置から影響をあまり受けていません。
政治アナリストによりますと、世界大国が朝鮮民主主義人民共和国にかけている圧力は一時的なものに過ぎません。中国は自国の経済に与えるこれらの制裁措置の悪影響をよく認識していますが、現時点で、アメリカとの関係改善を優先的に行うことから、朝鮮民主主義人民共和国に対する強固な措置を取らざるを得ません。
この11年、朝鮮民主主義人民共和国に対する9件の制裁措置が適用されてきましたが、これらの措置はあまり効果がなかったと言えます。朝鮮民主主義人民共和国はこれらの制裁措置で核開発計画を止めません。
制裁措置の強化は朝鮮半島の危機を解消できません。これらの制裁措置を適用すると同時に、戦略的な交渉を行う必要がありますが、残念ながら、現時点で、これを実現不可能でしょう。