27日、ソウルで、朝鮮民主主義人民共和国の核問題をめぐる6カ国協議の日本・アメリカ・韓国首席代表会合が開かれました。朝鮮民主主義人民共和国による潜水艦発射弾道ミサイルの発射実験などを踏まえ、圧力を強める考えで一致しました。今後、中国、ロシアとも話し合い、より効果的な圧力の具体策について検討します。
日米韓首席代表(写真:AFP)
会合には日本外務省の伊原純一アジア大洋州局長、アメリカのソン・キム北朝鮮政策特別代表、韓国のファン・ジュングク朝鮮半島平和交渉本部長が参加し、朝鮮民主主義人民共和国の核開発、朝鮮半島情勢、6カ国協議の再開へ向けての措置などについて討議しました。
緊張のエスカレート
最近、朝鮮半島情勢は複雑に推移しています。潜水艦発射弾道ミサイルの発射試験に成功したと発表した朝鮮民主主義人民共和国は、新たにレーダーに探知されにくいステルス機能を持った艦艇を配備するなど、軍備強化を進めています。
韓国の中央日報は27日、韓国軍高位当局者の話として、「北朝鮮がステルス機能を持ち時速90キロ以上で航行できる高速艦艇を最近、黄海艦隊司令部に配備 したと報じました。朝鮮民主主義人民共和国は5月上旬、事実上の長距離弾道ミサイル発射基地とみられる「衛星管制総合指揮所」を新設しました。
国防委員会政策局が20日に「核攻撃手段 は小型化、多様化の段階にある」との声明を出すなど、核やミサイルの開発を続ける姿勢を維持しています。こうした中、アメリカや、韓国は対応策探しを急いでいます。
ケリー米国務長官は18日午前、韓国外務省で、ユン・ビョンセ外相と会談しました。6月中旬で調整中のパク・クネ大統領のアメリカ訪問を前に、朝鮮民主主義人民共和国の核・ミサイル問題などで両国の緊密な連携を改めて確認しました。
協議再開の可能性
実際から見れば、朝鮮民主主義人民共和国の核問題をめぐる6カ国協議の再開の可能性はとても低いといえます。協議は、2008年を最後に開かれていません。朝鮮民主主義人民共和国が核保有国として認めるよう求める姿勢を変えておらず、27日にソウルで開かれた日米韓の首席代表会合でも再開の見通しは立たなかったのです。
会合終了後、3カ国の首席代表がそれぞれ取材に応じ、日本の伊原局長は「北朝鮮と意味のある対話を行うという点で共通の立場を持った」と語りました。また、アメリカのソン・キム朝鮮担当特別代表は「北朝鮮に対する圧力と制裁の強化の重要性で一致した」と話しました。韓国のファン朝鮮半島平和交渉本部長は「より実行力のある圧力を強めていかなければならない」と強調しました。
近年、南北朝鮮の関係は複雑になっています。というのは、双方間で、多くの不一致点が存在しているからです。特に、双方間の信頼はまだ不十分と指摘されています。こうした中、朝鮮半島問題が解決できるまでの道のりはまだ遠いとの懸念が出ています。